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■■HIV休職指示、違法確定 勤務病院に賠償命令/最高裁

エイズウイルス(HIV)に感染した看護師が、勤務先の病院で本人の同意なく感染情報が共有され、上司から休職を指示されたのは違法として、病院を経営する福岡県の医療法人に損害賠償を求めた訴訟で、違法と認めた二審判決が確定した。最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が29日付で医療法人側の上告を退ける決定をした。

看護師は2011年8月、勤務先とは別の病院での検査で感染が判明。結果は勤務先に伝わり、看護部長らから仕事を休むよう指示され、同年11月に退職した。勤務先に約1,000万円の賠償を求め提訴し、検査結果を伝えた病院との間では和解が成立した。

福岡地裁久留米支部は「HIV感染者に対する偏見や差別はまだあり、感染は他人に知られたくない情報だ。同意を得ないで診療目的以外の労務管理に利用することは許されない」として約115万円の賠償を命令。福岡高裁は「病院は勤務内容を変更して働くことも可能と説明している」として、賠償額を約61万円に減額した。

厚生労働省のガイドラインは、HIV感染は解雇の理由にならないと明記。雇用側は労働者の感染情報の秘密保持を徹底し、健康ならば他の人と同じ処遇で扱い、感染リスクの高い医療従事者でも基本的に変わらないとしている。

(時事通信)

■■日本IBMの解雇無効 元社員5人が勝訴/東京地裁

個人の「業績不良」を理由に日本IBMを解雇された40〜50代の元社員5人が、根拠のない不当な解雇だとして地位確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(吉田徹裁判長)は28日、全員の解雇を無効と判断し、同社に未払い賃金の支払いを命じた。

吉田裁判長は「業務を任せられないほどではなく、職種転換や降格などの手段を講じていない解雇は権利乱用に当たる」と述べた。労働組合員を狙い撃ちした不当労働行為だとする原告側の主張は退けた。

判決によると、5人は営業の後方支援や社内システム関連などの業務に従事していたが、2012〜13年、「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」として解雇された。

日本IBMの話 主張が認められず誠に遺憾。判決内容を精査し、今後の対応を検討する。

(時事通信)


■■社員自殺で1億円支払い イビデン、訴訟で争わず/岐阜地裁

電子機器製造大手のイビデン(岐阜県大垣市)の30代男性社員が自殺したのは上司のパワハラや長時間労働が原因として、遺族らが同社と上司に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、岐阜地裁(唐木浩之裁判長)で開かれ、イビデンと上司は遺族側請求を全面的に受け入れ、訴訟は終結した。男性社員をめぐっては昨年1月、大垣労働基準監督署が労災と認定していた。

訴状によると、男性社員は岐阜県内の事業所で設計などを担当していた2013年10月に自殺。自殺前の6カ月間は月67〜140時間の超過勤務を強いられ、上司からは「何でできんのや」「バカヤロー」などと叱責されていた。

イビデン側は訴訟でパワハラの有無に言及しなかったが、取材に対し「心よりお悔やみ申し上げる。労基署からパワハラと過重労働を指摘されたことを重く受け止め、再発防止に取り組む」とコメントした。

遺族は代理人を通じ、「請求を認めた点は評価したいが、いまだに謝罪はなされていない。このようなことが二度と起きないよう対応してほしい」とコメントした。

(時事通信)


■■「不利益の説明必要」初判断 合併後に退職金ゼロ/最高裁

山梨県民信用組合(甲府市)の元職員12人が、合併に伴う労働条件の変更で退職金がゼロになったなどとして退職金計約8,000万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は19日、「不利益な条件に変更する場合は、内容を具体的に説明するなどした上で同意を得る必要がある」との初判断を示した。

企業側が賃金や退職金を大幅に減額する際、形式的な書類への署名押印にとどまらず、労働者側に対する丁寧な説明を求めたと言える。

第2小法廷は、判断を示した点について十分な考慮がされていないとして、東京高裁に審理を差し戻した。高裁では、請求を棄却した一審甲府地裁判決が見直される可能性がある。

判決によると、原告らが所属していた旧峡南信用組合は2003年、経営破綻回避のため山梨県民信用組合と合併。その際、旧峡南職員の退職金の支給基準を変更し、原告らは同意書に署名押印した。

合併後に原告らが退職したところ、合併前の在職期間に関する全員の退職金がゼロになるなどしたため提訴。一、二審は請求を棄却し、原告側が上告していた。

(時事通信)


■■オリンパス、内部通報社員と和解 「敗訴後も不当処遇」で解決金

内部通報したところ不当に配置転換されたとして提訴し、配転無効の判決が確定したオリンパス社員の浜田正晴さん(55)が、裁判後も処遇が改善されていないとして同社に損害賠償などを求めた訴訟は18日、東京地裁(清水響裁判長)で和解が成立した。

和解条項によると、オリンパスが判決確定後の処遇改善が不十分だったことを認めて1,100万円の解決金を支払い、今後不当な処遇をしないと約束する一方、浜田さんは別の訴訟や人権救済申し立てを全て取り下げる。和解調書は社長メッセージを通じて全社員に公開される。

確定判決などによると、浜田さんは2007年、上司が取引先の社員を引き抜こうとしていると社内のコンプライアンス室に通報。その後、経験のない部署に配転され、人事評価も下げられた。

配転をめぐる訴訟では、二審東京高裁が「内部通報に反感を抱いた上司が業務と無関係に異動を命じた」と認め、配転を無効としてオリンパス側に220万円の損害賠償を命令。12年に最高裁が会社側の上告を棄却し、確定した。

しかし、同社は子会社への転籍や出向を提示するなど実質的な処遇改善には応じていないとして、再び裁判となっていた。

(時事通信)


■■育休で昇給なし違法確定 男性看護師、3カ月取得/最高裁

3カ月の育児休業を理由に昇給や昇格が認められないのは違法として、京都市の三尾雅信さん(45)が看護師として勤務していた病院側を相手に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は16日付で、病院側の上告を退ける決定をした。病院側に約24万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。

育児介護休業法は、育児休業を理由に不利益な扱いをすることを禁じている

三尾さんは京都市の医療法人稲門会が運営する病院に2003〜13年まで勤務。このうち、10年9〜12月に育休を取得した。しかし、病院側は育休を3カ月以上取ると翌年度は職能給を昇給させないという就業規則があることを理由に11年度の昇給を見送り、12年度の昇格試験の受験資格も認めなかった。

一審京都地裁は昇格の機会を与えなかったことだけを違法として15万円の支払いを命じたが、二審は昇給させなかったことも違法と判断。規則について「育児休業を取得する者に無視できない経済的不利益を与え、取得を抑制させる」と批判した。

医療法人は「現在は制度を変更しており、育休取得による不利益はない」と話した。

(時事通信)


■■ワタミの過労自殺訴訟和解 1億3,000万円支払い謝罪/東京地裁

ワタミグループの居酒屋「和民」で働いていた森美菜さん=当時(26)=を過労自殺で失った両親が、ワタミ(東京都大田区)や創業者で参院議員の渡辺美樹氏らに損害賠償を求めていた訴訟は8日、東京地裁で和解が成立した。原告側によると、渡辺氏らが法的責任を認めて謝罪し、約1億3,000万円を支払う。

森さんの死は、従業員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」が注目されるきっかけの一つとなった。賠償額には慰謝料4,000万円も含まれ、原告側代理人の玉木一成弁護士は「通常の倍額で『懲罰的要素』が考慮された」と指摘。今回の和解内容が、長時間労働の多いサービス業などで労働環境の改善につながるよう期待を寄せた。

玉木弁護士らによると、和解条項でワタミ側は、森さんの死は過重労働が原因と認めた。渡辺氏については「最も重大な損害賠償責任を負う」ことを確認。謝罪の文言を含む和解内容を1年間、同社と渡辺氏のホームページ上に掲載する。

同社は今後、労使協定で取り決めた残業時間の限度を守るなど過重労働の防止を図る。渡辺氏の著書購入費などを給料から天引きしていたが、森さんが入社した2008年以降の新卒社員に対し、これらを返金することも盛り込まれた。

厚生労働省で記者会見した父豪さん(67)は「再発防止を盛り込んだのは良かった。今苦しんでいる人たちに、良い影響が出ることを望む」と話した。

訴状によると、森さんは08年4月に入社し、神奈川県内の店に配属。6日連続の深夜勤務などで1カ月間の時間外労働は過労死の目安とされる80時間を上回る約140時間に上り、同年6月に自殺した。

渡辺氏は8日、フェイスブック上で「裁判所内で遺族に直接、衷心より謝罪を申し上げた。最も重い責任は私にある」などとコメントした。

(時事通信)


■■マタハラ、女性が逆転勝訴 妊娠降格で慰謝料命令/差し戻し控訴審判決・広島高裁

妊娠を理由に降格されたのは男女雇用機会均等法が禁じた「マタニティーハラスメント」に当たり違法として、広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性が慰謝料を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が17日、広島高裁であった。野々上友之裁判長は降格を違法と認め、請求を棄却した一審広島地裁判決を変更し約175万円の支払いを命じた。

降格が許される例外として最高裁が示した「明確な同意か業務上必要な特段の事情」の有無が争点だったが、同裁判長はいずれも認められないと判断。「病院は、使用者として女性労働者の母性を尊重し職業生活の充実の確保を果たすべき義務に違反した過失がある」と述べた。

女性は2004年に副主任となったが、第二子を妊娠した08年、負担の軽い業務への転換を希望したところ、副主任の役職を外された。

一、二審では原告側が敗訴したが、最高裁は昨年10月、「妊娠や出産を理由とした降格は、自由な意思に基づく明確な同意か業務上必要な特別な事情がなければ違法」との初判断を示し、女性は降格に同意しておらず特段の事情について審理が尽くされていないとして二審判決を破棄、審理を高裁に差し戻していた。

野々上裁判長は、女性の同意は自由意思に基づくものではないと指摘。「女性を再任用すると指揮命令が混乱する」という病院側の主張も、具体性に欠けるとして退けた。

(時事通信)


■■労災療養中でも解雇可能 専修大元職員めぐり初判断/最高裁

労災で療養中に解雇されたのは不当だとして専修大の元職員の男性(40)が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、「労災保険給付を受けている場合でも、補償金を支払えば解雇できる」との初判断を示した。

その上で、解雇に合理的な理由があるか検討が不十分だとして、一審同様に男性勝訴とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。雇用側の解雇対象が広がる判断で、男性の弁護団は「安心して治療に専念する権利を奪う不当な判決だ」と批判した。

労働基準法は、業務によるけがや病気で休業する期間は解雇を原則禁止。ただ、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年たっても治らない場合は、平均賃金の1,200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できると規定している。

男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険の支給決定を受けた。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めたが、専修大は認めず、打ち切り補償金約1,629万円を支払って解雇した。

第2小法廷は「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、けがや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘した。

(時事通信)


■■大和証券などに賠償命令 「追い出し部屋」で退職迫る/大阪地裁

大和証券(東京)からグループ会社の日の出証券(大阪)に転籍の上、退職を迫る「追い出し部屋」で勤務させられたとして、男性社員(42)が両社に200万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が24日、大阪地裁であった。中島崇裁判官は「組織的、長期にわたる嫌がらせで悪質」と述べ、両社に150万円を支払うよう命じた。

中島裁判官は、一人きりの別室勤務や、新規顧客開拓業務への専従について、大和証券から了解を得ていたと認め、「退職に追い込むための嫌がらせ」と指摘した。転籍の無効確認については、男性が書面で同意しているため、請求を退けた。

判決によると、男性は1998年、大和証券に入社。2012年10月、日の出証券に出向し、13年4月に転籍した。


■■日航整理解雇は「有効」 客室乗務員ら敗訴確定/最高裁

日本航空が経営再建中の2010年に行った整理解雇をめぐり、解雇は無効だとして客室乗務員71人が地位確認などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は4日付で、原告らの上告を退ける決定をした。解雇は有効として原告らの訴えを退けた一、二審判決が確定した。

二審東京高裁判決によると、日航は10年1月に会社更生法適用を申請。同年12月に客室乗務員84人、パイロット81人を整理解雇した。

同高裁は「会社を存続させ合理的に運営する上でやむを得なかった」と判断し、解雇を有効とした一審東京地裁判決を支持していた。

(時事通信)


■■残業手当除外は「無効」 大手タクシー敗訴/東京地裁

タクシー大手国際自動車(東京)グループの運転手14人が、残業や深夜勤務の割り増し手当分を実質的に差し引いて歩合給を算定する賃金規定は無効として、未払い賃金などの支払いを同社側に求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。佐々木宗啓裁判長は無効と認め、計約1,450万円の支払いを命じた。

佐々木裁判長は判決で、「規定では時間外労働をしてもしなくても賃金は同じになり、労働基準法の趣旨に反している」と指摘した。

会社側は「タクシー会社は乗務員の勤務状況を監視できず、規定は時間外労働の抑制が目的。業界でも一般的に採用されている」と反論していた。

これに対し、佐々木裁判長は「時間外労働の制限は他の方法で容易にできる。勤務を監視できないのはタクシー営業に限った話ではなく正当化されない」と退けた。

国際自動車の話 判決に不服があり、控訴した。上級審の判断を仰ぎたい。

(時事通信)



■■客室乗務員の整理解雇無効 日航に賃金支払い命じる/大阪地裁

日本航空の経営再建中に整理解雇された客室乗務員の40代女性が、同社を相手取り、社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。中垣内健治裁判長は解雇を無効とし、社員と認めて賃金約1,100万円を支払うよう命じた。

判決によると、会社更生手続きを申請していた日航は2010年12月、客室乗務員84人を整理解雇。この際、病欠や休職から9月27日までに乗務に復帰していれば解雇対象外とし、10月に復帰した原告は解雇された。

中垣内裁判長は、日航が11月になってから、9月27日の復帰基準日をさかのぼって設定したことから、原告らが解雇対象とされるのは不合理と判断した。

日航の整理解雇をめぐっては、東京地裁、高裁がパイロットを含む計約140人の訴えを退け、原告側が上告中。

(時事通信)

■■セクハラで西友に賠償命令 元パート女性訴え認める/東京地裁

スーパー大手西友の元パート社員の20代女性が、売り場担当だった40代男性社員によるセクハラ行為が原因で退職を余儀なくされたとして、1,100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。沢井真一裁判官はセクハラ行為を一部認定した上で、「会社には職場環境への配慮義務違反があった」と述べ、同社と男性に330万円の支払いを命じた。

男性は「移動を促すために肩や腰などに触れたことはあるが、セクハラ行為はしていない」と主張したが、沢井裁判官は「女性の供述は具体的で、男性を陥れる動機も認められない」と退けた。

判決によると、女性は東京都内の店舗で食品売り場を担当。男性は同じ売り場の正社員として、パート社員を指導する立場だった。昨年2月の女性の申告を受け、同社は男性を別店舗に異動させるとともに、社内調査を開始。セクハラを一部認定し、男性を減給処分とした。女性はその後、退社した。

西友の話 判決内容を精査しているところなので、コメントは控えたい。

(時事通信)


■■店長自殺、パワハラ原因 ステーキ店側に賠償命令/東京地裁

首都圏を中心に展開する飲食店「ステーキのくいしんぼ」の店長だった男性=当時(24)=が自殺したのは、長時間労働と上司のパワーハラスメントが原因として、埼玉県に住む両親が経営会社のサン・チャレンジ(東京)と社長、元上司に計約7,300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、東京地裁であった。山田明裁判長は自殺とパワハラなどとの因果関係を認め、同社側に計約5,800万円の支払いを命じた。

山田裁判長は、男性は遅くとも自殺の約2年9カ月前から恒常的に1日12時間半以上働き、上司から暴言や暴行、嫌がらせなどを受けて精神障害になり自殺したと認定。同社については、「業績向上を目指すあまり、適切な労務管理ができる体制を何ら取っていなかった」と指摘した。

判決によると、男性は高校卒業後、別会社を経て2007年5月からサン・チャレンジで勤務。09年7月、店長に昇格したが、渋谷センター街店の店長だった10年11月、勤務終了後に店舗近くで首をつって自殺した。

判決後に記者会見した父親(60)は「自殺の原因が証明されて、息子の名誉回復になったのではないか」と話した。

サン・チャレンジの話 判決の詳細を把握していないのでコメントできない。

(時事通信)


■■妊娠降格、明確な同意必要 均等法規定で初判断/女性敗訴破棄、差し戻し・最高裁

広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性が、妊娠を理由に降格されたのは男女雇用機会均等法に反するとして、慰謝料などを求めた訴訟の上告審判決が23日、最高裁第1小法廷であった。桜井龍子裁判長は、妊娠や出産を理由とした降格について、「自由な意思に基づく明確な同意、または業務上必要で女性労働者の仕事の充実という同法の目的に反しない特別な事情がなければ違法」との初判断を示した。

その上で、原告については同意がなかったと判断。特別な事情があったかどうかは審理が尽くされていないとして、訴えを退けた二審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻した。裁判官5人全員一致の意見。

事業者側が妊娠、出産した従業員に不利益な待遇をする「マタニティーハラスメント」が問題となる中、司法が妊娠による降格を禁じた規定の例外を示して適用基準を明確化し、事業者に適切な労務管理を促した格好だ。

女性は妊娠を機に負担の軽い業務への転換を希望したところ、副主任の役職を外された。女性が均等法違反を主張したのに対し、病院側は「役職を外した措置は合理的な裁量権の範囲内で、女性の同意も得ていた」と反論していた。

第1小法廷は判決で、降格について「管理職の地位と手当を失った上、副主任への復帰が予定されておらず、女性の意向に反していた」と指摘。「復帰できるかなどについて説明がなく、女性は渋々ながら受け入れたにすぎない」として、自由な意思に基づく同意とは言えないと結論付けた。

一方で、「副主任の職務内容や異動後の職場の業務態勢がはっきりしておらず、降格が業務上必要だったかどうかなどは明らかではない」として、さらに審理が必要と判断した。

一、二審はいずれも、女性が役職を外されることに同意していたなどとして、訴えを退けていた。

(時事通信)


■■石綿被害、国の責任認定 最高裁が初判断/泉南訴訟82人勝訴

大阪府・泉南地域にあったアスベスト(石綿)関連工場の元労働者や遺族ら計89人が、国の規制が不十分だったため肺がんなどになったとして損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は9日、国の責任を認める初判断を示した。裁判官5人全員一致の意見。

その上で、原告のうち二審で訴えが認められた54人に関し、国の上告を棄却。総額約3億3,000万円の賠償を命じた判決が確定した。二審敗訴の28人については、敗訴判決を破棄した上で損害額算定のため大阪高裁に審理を差し戻した。一方で、国の責任を否定した時期もあり、その期間に就労していた7人は敗訴が確定した。

石綿の健康被害をめぐる国の責任について、最高裁が判断を示すのは初めて。責任が認められたことで、国に幅広い救済を求める声が強まりそうだ。

原告側は、1971年まで排気装置の設置を義務付けなかったのは違法と主張。70年代以降、石綿粉じん濃度の規制が強化されなかった点や、労働者に防じんマスクを使用させることを事業者に義務付けなかった点も違法と訴えた。

第1小法廷は判決で、労働省(当時)が都道府県の労働基準局に出した58年の通達で、粉じん作業について労働環境の改善を指示していた点を考慮。同年の時点で、排気装置の設置義務付けに必要な技術的知見もあったとして、「義務付けなかったことは違法となる余地がある」と指摘した。

一方、粉じん濃度の規制強化に関し、「国が行っていた規制は当時の専門的知見に基づいており、合理性を欠くとは言えない」と判断し、原告側の主張を退けた。

防じんマスクについては、国が47年の時点で事業者に呼吸用保護具の備え付け義務を課し、労働者にも使用を義務付けていた点に言及。「労働者による使用を事業者に義務付けなかったことが合理性を欠くとまでは言えない」と結論付けた。

(時事通信)


■■就職前発症でも労災認定 新入社員、うつ病自殺で/東京地裁

外食チェーン店を展開する「東和フードサービス」(東京都)の新入社員だった女性=当時(25)=の自殺は過労によるうつ病が原因として、長野県に住む母親(65)が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、労災と認めた。

女性は学生時代に一度うつ病を発症した。八王子労働基準監督署は「病気が続いていた」として業務との因果関係を否定し、遺族補償給付を不支給としていた。

佐々木宗啓裁判長は「就職時には安定した状態で通常の勤務を行っていた」と判断。正社員になった翌日に「店舗責任者」に就任したことや、アルバイトが相次いで退職したことなど、業務上のストレスが重なってうつ状態になったと認め、労基署の処分を取り消した。

原告側弁護士は判決後に記者会見し、「就労前に発症した精神障害の影響を限定的に解釈した画期的判決」と評価した。

判決によると、女性は大学卒業後の2005年、同社にアルバイトとして採用され、都内の喫茶店に勤務。06年8月末に正社員となったが、12月に都内の自宅マンションから飛び降り自殺した。

(時事通信)

■■日航側の不当労働行為認定/労組スト権に介入 東京地裁

労働組合のストライキ権確立に介入したと認定され、東京都労働委員会から不当労働行為救済命令を受けたのを不服として、日本航空が都に取り消しを求めた訴訟の判決が8月28日、東京地裁であった。古久保正人裁判長は「命令に違法はない」として、日航の訴えを退けた。

問題となったのは、経営破綻した日航が再建中の2010年11月、管財人を務めていた企業再生支援機構の幹部が一部労組との折衝中に行った発言。スト権確立に向けて実施中だった組合員投票について「スト権が撤回されるまで、(機構は)日航に出資できない」と述べた。

都労委は11年7月、「発言は組合員に威嚇的効果を与え、組合の組織運営に影響を及ぼすものだ」と指摘し、救済命令を出した。判決も「発言は組合への支配介入に当たる」と認定した。(時事通信)


■■サントリーHDに賠償命令/パワハラで休職 東京地裁

サントリーホールディングスの男性社員が、上司からパワハラを受けて休職を余儀なくされたとして、同社と上司らに約2,400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7月31日、東京地裁であった。本多知成裁判長はパワハラを認め、同社と上司に297万円の支払いを命じた。

本多裁判長は、中堅社員だった男性に上司が「新入社員以下だ」などと発言したことについて、「注意や指導としての許容限度を超える」と判断した。

判決によると、男性は2006年4月から上司と同じ部署に所属。開発を担当していたシステムの稼働開始を前に上司からの指導回数が増えて精神的に追い詰められ、07年4月にうつ病と診断された。別の部署に配置換えとなった後、一時休職した。

サントリーホールディングス広報部の話 主張が認められず残念。控訴も検討する。(時事通信)


■■育休で昇給見送りは違法 勤務先に賠償命じる/大阪高裁

3カ月の育児休業を理由に昇給させないのは違法などとして、京都市の看護師の男性(44)が、勤務していた病院側を相手に、給与などの未支払い分を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁(小松一雄裁判長)は18日、育児・介護休業法に違反するとして、15万円の賠償を命じた一審京都地裁判決を変更し、約24万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

判決によると、男性は2010年度に3カ月間の育児休業を取得。病院側は11年度、就業規則に基づき職能給を昇給せず、12年度には昇格試験を受けさせなかった。 

一審は昇格の機会を与えなかったことだけを違法としたが、小松裁判長は昇給させなかったことについても「欠勤、休暇よりも合理的理由なく不利益に取り扱い、育休取得の権利を抑制する」と述べ、無効と判断した。
時事通信


■■日航整理解雇、二審も適法 客室乗務員らの訴え棄却/東京高裁

日本航空が経営再建中の2010年に行った整理解雇をめぐり、解雇された客室乗務員71人が同社に、社員としての地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が3日、東京高裁であった。大竹たかし裁判長は「会社を存続させ合理的に運営する上でやむを得なかった」と述べ、解雇は適法として訴えを退けた一審東京地裁判決を支持し、原告側控訴を棄却した。

控訴審で原告側は、解雇時点で人員削減目標は既に達成できていたと新たに訴えたが、大竹裁判長は「原告が主張する数値などの正確性に疑問がある」として退けた。

判決後に記者会見した原告団長の内田妙子さん(60)は「一審に続き事実を覆い隠す不当判決。憤りでいっぱいだ」と話し、上告の意向を示した。

判決によると、経営破綻した日航は10年1月に会社更生法適用を申請。希望退職者を募ったが目標数を下回ったため、同年12月に客室乗務員84人、パイロット81人を整理解雇した。日航は更生手続き終結後の12年9月、東証1部に再上場した。

5日には、パイロット70人が起こした同種訴訟の控訴審判決が言い渡される。時事通信


■■女子大教授、解雇は無効 「追い出し部屋」拒否訴訟/名古屋地裁

不合理な事務作業を強いる「追い出し部屋」への異動を拒否し、大学から不当に解雇されたとして、名古屋女子大学教職員組合委員長の元教授(64)が大学を運営する学校法人を相手に地位確認などを求めた訴訟の判決が13日、名古屋地裁であった。

田辺浩典裁判官は「異動命令は退職に追い込み、反発する者を解雇するのが目的だ」と述べ、解雇を無効と認定した。2011年4月以降未払いとなっている月額約52万円の給与支払いも命じた。

田辺裁判官は判決で、学校法人越原学園(名古屋市)が山井元教授ら組合員5人を恣意的に選んで、教職員研修室での勤務を命じたと指摘。「言動を封じ込め、無意味な単純作業をさせて自尊心を傷つけようとした」と非難した。

判決によると、越原学園は08年3月以降、研修室で組合員に接客マニュアルを書き写させたり、漢字能力検定試験の過去問題を解かせたりした。

文学部でフランス語を教えていた元教授は11年4月、異動を拒否して解雇された。他に研修室勤務を命じられた組合員のうち、2人が解雇され、1人が退職している。

判決後、元教授は「経営体質を改め、正常な大学に戻してもらいたい」と話した。越原学園の広報担当者は「判決は不当で、直ちに控訴する」と述べた。(時事通信)


■■男性自殺、パワハラ原因 社長らに5,400万円賠償命令/名古屋地裁

愛知県瀬戸市で2009年1月、男性会社員=当時(52)=が自殺したのは社長らのパワハラ行為が原因だとして、妻らがほうろう加工会社だった「メイコウアドヴァンス」(同県日進市)側に約6,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、名古屋地裁であった。田辺浩典裁判長はパワハラが自殺につながったと認め、同社と社長に約5,400万円の支払いを命じた。

田辺裁判長は、男性が社長の暴言と暴行に恐怖を感じていたと指摘。自殺の直前1週間には、太ももを蹴られ12日間のけがをした上、退職届を書くよう強要され、「強い心理的負荷を連続して受け、自殺に至った」と判断した。

判決によると、社長は仕事のミスをめぐって「ばかやろう」と男性を怒鳴ったほか、08年夏以降は頭をたたくなどした。男性が設備を壊した際には「7,000万円払え。払わないと辞めさせない」とも発言していた。

(時事通信)


■■「日本海庄や」店員過労死、大庄社長らへの賠償命令確定/最高裁

飲食チェーン店「日本海庄や」の店員だった男性当時(24)が死亡したのは長時間労働が原因として、京都市の両親が同店などを全国展開する大庄と社長ら役員4人に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は9月26日までに、同社側の上告を退ける決定をした。同社と役員4人の賠償責任を認め、計約7,800万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。決定は24日付。

一、二審判決によると、男性は07年4月に同社へ入社し、大津市の店舗で勤務。同年8月に急性心不全で死亡した。死亡前4カ月間の時間外労働は月平均100時間を超え、08年12月に労災認定された。


■■オリンパス社員の勝訴確定/内部通報での配転無効訴訟

社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に通報したことで不当に配置転換されたとして、大手精密機器メーカー「オリンパス」(東京)の社員の男性が同社に1,000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は6月29日までに、会社側の上告を退ける決定をした。男性の逆転勝訴とした二審判決が確定した。28日付。

社内の内部通報規定をめぐる訴訟で配転命令を違法とした判断が確定するのは初めてとみられ、公益通報者保護法の施行を受けて企業に広がる内部通報制度の運用にも影響を与えそうだ。

一審東京地裁は「配転は会社の裁量の範囲内で、通報への報復とは認められない」として請求を棄却した。

しかし二審東京高裁は「内部通報に反感を抱いた上司が必要のない配転命令をした」と認定し、内部通報による不利益な扱いを禁じた社内の運用規定にも反するとして「人事権の乱用」と判断。配転を無効とし、慰謝料など220万円の支払いも命じた。

会社側は昨年12月、利息を含めた約260万円を支払っている。

二審判決によると、男性は、上司が取引先の社員を不正に引き抜こうとしていると知り、2007年6月に通報。担当者が内容や男性の名前を上司や人事部などに伝えた後、営業職から3回にわたって別の部署に異動となり、新入社員用テキストを使った学習をさせられるなどした。(共同通信)


■■「雇い止め無効」認めず/いすゞ元従業員ら請求棄却

いすゞ自動車(東京)の雇い止めや派遣切りは無効として、栃木、神奈川県内の工場で働いていた元期間従業員4人と元派遣社員3人が雇用継続確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、請求を棄却した。ただし元期間従業員がカットされた未払い賃金、1人約58万〜63万円の支払いを同社に命じた。

判決によると、いすゞは2008年12月、契約の打ち切りに応じなかった期間従業員4人に契約期間終了までの休業と約4割の賃金カットを言い渡し、翌年4月で雇い止めとした。派遣社員は08年12月に派遣元から解雇された。

渡辺弘裁判長は、不況に伴う減産などから、期間従業員を雇い止めとした理由は合理的としたが、休業と賃金カットは不要だったと判断。元派遣社員は「いすゞが派遣元との間で中途解約した」と訴えたが「いすゞが人事を管理していた事情はない」と認めなかった。

また判決は、慰謝料支払いを求めた別の元派遣社員5人の請求も退けた。(共同通信)


■■元教諭の減給停職取り消し/君が代斉唱での不起立

東京都八王子市の市立中学の教諭だった男性が、卒業式で君が代斉唱時に起立しなかったことを理由に都教育委員会が戒告や減給、停職の懲戒処分にしたのは不当として、取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は19日、減給と停職の処分を取り消した。

古久保正人裁判長は、起立を指示した校長の職務命令は「許容できる合理性が認められる」と判断。戒告は「著しく妥当性を欠くとはいえない」とする一方、減給と停職は「積極的に式典を妨害する行為ではなく、重すぎて違法」とした。

同種訴訟では、校長の職務命令を合憲とし、戒告を超える処分は「慎重な考慮が必要」との最高裁判例があり、今回の判決も枠組みを踏襲した。

判決によると、男性は2006〜09年度の卒業式で起立せず、07年に戒告、08、09年に減給、10年に停職とされた。(共同通信)


■■■■パワハラ認定で慰謝料/岡山のトマト銀行

トマト銀行(岡山市)の50代の元行員がパワハラにより退職を余儀なくされたとして、同行と上司に計約4,900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁は19日、精神的苦痛を認め慰謝料など110万円の支払いを命じた。

井上直樹裁判官は判決理由で「上司の叱責は、脊髄の病気などの療養から復帰直後の原告にとって精神的に厳しく、パワハラに該当する」と認定。しかし退職との因果関係は認めず、働き続けていれば得られた利益の請求分は認めなかった。

判決によると、2007年3月ごろ、当時の上司が、ミスをした原告を「辞めてしまえ」などと強い言動で責めるなどした。原告は09年に辞表を提出し、退職した。

トマト銀行は「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。(共同通信)


■■■都立高教諭の過労死認定/修学旅行など「特に過重」

2002年に東京都立高教諭だった男性が修学旅行の引率から帰宅する途中に死亡したのは、過労が原因なのに公務災害と認定されなかったとして男性の妻が、地方公務員災害補償基金(東京)に不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、公務と死亡との因果関係を認め、処分を取り消した。

渡辺弘裁判長は、死亡までの1週間の労働時間が入学試験の選抜と修学旅行の引率で法定の2.5倍以上に及んだと認定。選抜では受験生の一生を左右する決断を迫られ、北海道でのスキー実習が中心の修学旅行でも、生徒の安全確保に精神的な緊張を伴っていたとして「日常の勤務と比べて質、量ともに特に過重だった」と判断した。

さらに「十分な疲労回復の機会はなかった」と認め、公務で持病の動脈硬化症を悪化させたと結論付けた。

判決によると、男性は都立野津田高の2年生の担任だった02年2月、修学旅行の引率からの帰宅中に倒れ、急性心筋梗塞で死亡した。(共同通信)


■■みなし労働、二審は適用外/添乗業務の残業代

労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制」の適用は不当として、阪急トラベルサポート(大阪市)の派遣添乗員6人が未払い残業代などの支払いを求めた訴訟2件の控訴審判決が7日、東京高裁であった。

大竹たかし裁判長は、いずれもみなし労働制の適用を妥当とした一審東京地裁判決を変更、適用は認められないと指摘し、1人当たり計約640万円〜約210万円を支払うよう会社に命じた。

添乗員は実際の業務内容について、出発や到着時刻などを正確に記載した日報を会社に提出することが義務付けられており「労働時間を算定し難いとは認められない」と判断した。

阪急トラベルサポートは「添乗業務の実態からかけ離れた判決で、到底承服し難い。上告する」とコメント。同種訴訟では昨年9月、東京高裁の別の裁判長も適用を否定する判決を言い渡しており、会社が上告中。(共同通信)


■■飲酒死亡は過労が原因/二審も会社の責任認定

システムエンジニアの次男が急性アルコール中毒で死亡したのは過労が原因として、さいたま市の両親がソフトウエア開発会社フォーカスシステムズ(東京)に1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は22日、約5,960万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を変更、約4,380万円に減額した。

斎藤隆裁判長は一審同様、月100時間を超える時間外労働配置転換心理的負荷が過度に蓄積、うつ病などを発症して大量に飲酒したと判断「上司らは長時間労働を把握していたのに適切な措置を取らなかった」と会社の責任を認めた。

一方、「睡眠不足の解消に努めるべきだったのにブログやゲームに時間を費やした」として過失相殺の割合を増やした。

判決によると、25歳だった次男は2006年9月、無断欠勤して京都市の鴨川沿いでウイスキーなどを飲んで死亡。中央労働基準監督署は07年10月に労災認定した。(共同通信)


■■「石綿禍「国に責任」 工場労働者以外も救済/大阪・泉南訴訟2陣

中小の紡績工場が集中していた大阪・泉南地域でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんなどを発症したとして元労働者らが国に損害賠償を求めた集団訴訟第2陣の判決で大阪地裁は28日、「国が対策を怠った」として原告55人中50人について総額約1億8,000万円の賠償を命じた。

工場に原料を搬入していた運送業者の元従業員1人の遺族についても、請求を認めた。原告弁護団によると、工場の元労働者以外に国の賠償責任を認めたのは初めて。

小野憲一裁判長は判決理由で「1959年までには石綿肺の医学的知見が蓄積され、国は深刻な被害を認識していた」と指摘。「旧じん肺法が制定された60年までに対策を取るべきだった」として、局所排気装置設置を義務付けた71年までの期間について国の怠慢を認定した。

その上で「最終的責任を負うのは使用者」として、国の責任範囲を3分の1に限定。60〜71年の期間外に勤務していた人や会社から十分な賠償を受けたと認めた人などについては請求を棄却した。

第1陣訴訟では、一審大阪地裁判決が原告26人について国に総額約4億3,500万円の賠償を命じたが、二審大阪高裁判決は「国の対策に違法性はない」と原告逆転敗訴を言い渡し、原告側が上告している。

第2陣の原告は1947〜99年に石綿関連工場で働いていた元労働者やその遺族ら。1人当たり550万〜4,400万円の賠償を求め、2009〜11年に順次提訴した。

石綿被害をめぐっては、企業に賠償を命じる判決が相次いだほか、米海軍横須賀基地の元従業員らが賠償を求めた訴訟の判決や和解で、雇用主としての国の責任を認めたケースがある。(共同通信)


■■NTT東に退職金支給命令/有罪の元社員の訴え認める

強制わいせつ致傷罪で有罪判決を受けたNTT東日本の元社員の男性が退職金不支給は不当として、同社に約1,300万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は3月30日、約600万円の支払いを命じた。

判決によると、男性は2008年、茨城県つくば市で女子高生(当時)の胸を触って突き飛ばし、けがをさせたとして09年に逮捕され、起訴された日に退職。同年11月に水戸地裁で有罪判決を受けた。NTT東は社内規定に基づき「懲戒解雇や諭旨解雇に当たると考えられる非行」として退職金を全額支給しなかった。

藤井聖悟裁判官は「あくまで私生活上の非行でNTT東の業務に支障が生じたと認める証拠はない」と指摘、「約22年間勤めた功労を全て抹消できるとは言い難い」とし、減額して支給すべきだと判断した。(共同通信)


■■客室乗務員の解雇も有効/再建中の日航、東京地裁

日本航空の会社更生手続き中に整理解雇された33〜60歳の元客室乗務員72人が、雇用継続の確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁の白石哲裁判長は3月30日、解雇を有効と判断、請求を棄却した。元パイロット76人についても同地裁は29日、解雇を有効と判断している。

日航の稲盛和夫名誉会長(当時会長)が昨年2月の記者会見と9月の証人尋問で、雇用維持は「不可能ではなかった」と発言。原告側は「トップ自らが解雇の必要がなかったと認めた」と解雇無効を主張していた。

しかし判決は、発言について「苦渋の決断として、やむなく解雇せざるを得なかったとの心情を吐露したにすぎず、人員削減の必要性を否定するものではない」と判断。

巨額の負債を抱えた日航を「いったん沈んだ船」と例えて「二度と沈まないよう、大幅な事業規模の縮小と適正規模の人員体制への移行は不可欠だった」と指摘した。

その上で (1)希望退職の募集など解雇回避の措置が尽くされていた (2)病欠日数や年齢を考慮した人選基準は恣意的な考えが入る余地が少なく、客観性がある (3)人員削減の必要を真摯に説明した−として「解雇には合理性がある」と結論付けた。

判決後、原告団長の女性は「不当極まりない判決」として控訴する方針を明らかにした。日航は「主張が全面的に認められた」とのコメントを出した。(共同通信)




■■龍谷大雇い止めで和解/新たに1年間雇用

龍谷大(京都市)が期間満了を理由に雇用契約を更新しなかったのは不当として、元経済学部助手の女性が雇用継続などを求めた訴訟は26日までに、京都地裁(大島真一裁判官)で和解した。大学が新たに1年間雇用するとの内容。和解は22日付。

原告側代理人によると、女性は2007年4月から契約期間3年で勤務、10年3月末に雇い止めされた。採用時に「よほどの不祥事がなければ1回は契約更新されると説明があった」として提訴した。和解を受け、来年4月から1年間、雇用される。更新はないという。

女性は記者会見で「大学の教員使い捨てに異議を申し立てたかった。非正規教員の問題は全国で広がっているが、多くの教員は泣き寝入りしているのが現状。勇気を持って声を上げていただきたい」と話した。
同大は「裁判の長期化は望ましくないと判断した」とのコメントを出した。(共同通信)


■■競合他社への転職禁止無効/「職業選択の自由侵害」

優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に、外資系生命保険会社が執行役員との間で取り交した「退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない」とする契約条項の有効性が争われた訴訟の判決で、東京地裁は13日、「職業選択の自由を不当に害し、公序良俗に反して無効」との判断を示した。

原告側弁護士によると、外資系企業では保険業界に限らず同種条項を交わすケースが多く、「名ばかり管理職とされる執行役員の転職を安易に禁じることに警鐘を鳴らす判断だ」としている。

原告は「アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー」日本支店(メットライフアリコ)の元執行役員の男性。保険商品を代理販売している提携金融機関への営業を統括していた。2009年6月に退社し、翌月に別の生保に転職、アリコ社は退職金を支給しなかった。判決は、請求通り退職金約3,000万円の支払いを命じた。

光本洋裁判官は、男性はアリコ社で機密情報に触れる立場になく、転職後は異なる業務に携わっていたとして「アリコ社に実害が生じたとは認められない」と指摘。「転職先が同じ業務を行っているというだけで転職自体を禁じるのは制限として広すぎる。禁止期間も相当ではない」とした。(共同通信)


■■記者の労災、二審も認めず/糖尿病悪化との関係否定

時事通信社の政治部記者だった男性が1997年に糖尿病の悪化で死亡したのは、過労が原因だとして、男性の父親が労災と認めなかった国の処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は25日、請求棄却の一審東京地裁判決を支持、控訴を棄却した。

大竹たかし裁判長は一審同様に業務内容を「精神的、身体的に著しく負担が大きかった」と認定したが、ストレスと糖尿病悪化の関係は「医学的知見が定まっていない」と述べ、業務と死亡との因果関係を否定した。

判決によると、男性は84年に入社。首相官邸の取材を担当していた97年6月、糖尿病の合併症が原因で死亡した。5月までの半年間の時間外労働は月平均約134時間だった。

記者会見した男性の父親は「少しは良い方向にいくのではと期待していたが、非常に残念な判決だ」と話した。(共同通信)


■■育休解雇めぐり女性勝訴/復帰と慰謝料165万円

育児休業の取得を理由に解雇したのは違法として、埼玉土地家屋調査士会(さいたま市)の元社員の女性が解雇無効確認などを求めたさいたま地裁(天川博義裁判官)の訴訟で、同会が請求を認める「認諾」を表明し審理が終結していたことが2日分かった。

原告側の弁護士によると、職場復帰と同会と同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まった。弁護士は「泣き寝入りせずに闘った結果。より働きやすい職場になってもらいたい」と話している。

訴状によると、女性は2005年8月に事務職で入社。09年9月に妊娠後、切迫流産の危険があったため数日間休むと、同11月以降、同会役員らに退職を勧められた。

10年4月から産休と育休を取得、昨年5月18日に復帰すると、そのまま解雇された。会長は女性に「育休が労働法で認められていることは分かっている」などと話した。(共同通信)


■■二審も賠償命令/パナ子会社の「派遣切り」

パナソニックの子会社「パナソニックエコシステムズ」(愛知県春日井市)で働いていた愛知県の元派遣社員2人が、「派遣切り」をされたとして直接雇用や慰謝料の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は10日、計約130万円の支払いを命じた一審判決を支持、双方の控訴を棄却した。

一審名古屋地裁は「賃金の高さなどを理由に突然の派遣切りをしており、著しく信義にもとる対応」として同社の不法行為を認めた一方で、派遣社員と同社の間に直接の雇用契約があったとは認めなかった。

原告代理人の中谷雄二弁護士は「派遣先の不法行為が控訴審でも認められることは少なく、意義がある」と話した。同社は「最大の争点の雇用契約に関しては当社の主張が認められたが、一部認められずに遺憾」とコメントした。

判決によると、2人はそれぞれ別の会社からパナソニックエコシステムズに派遣され、2009年までに契約更新を断られた。(共同通信)


■■ 会社に440万円賠償命令/「長時間労働で精神疾患」

長時間労働などが原因で精神疾患を発症したとして、大阪市の男性が建設コンサルタント会社「建設技術研究所」(東京)に660万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、研究所側に440万円の支払いを命じた。

稲葉重子裁判長は判決理由で、男性が遅くとも2002年12月に発症したのは同年の平均時間外労働時間が月約135時間と長時間労働だったことなどが原因だと認定。
その上で「上司らは、長時間労働や健康状態の悪化を認識しながら負担を軽減させる措置をとっておらず、安全配慮義務違反だ」とした。

男性は05年12月、解雇されており地位確認も求めたが、稲葉裁判長は「約4カ月半の間、正当な理由なく出勤しなかったのは解雇事由にあたる」として請求を棄却した。
同研究所は「判決文が届いていないためコメントしかねる」としている。(共同通信)


■■元期間従業員の請求棄却/ホンダ「雇い止め」訴訟

ホンダの栃木製作所真岡工場(栃木県真岡市)で約11年間、期間従業員として働き、減産を理由に不当に雇い止めとされたとして、宇都宮市の男性がホンダに雇用の継続確認や損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却した。

判決によると、男性は1997年12月から自動車部品の生産ライン管理を担当し、1〜3カ月の短期間で雇用を更新され、2008年12月末に雇い止めとなった。この間、毎年1回、若干の空白期間が設けられた。

渡辺和義裁判官は、男性が雇い止めに先立ち会社側から「業績が低迷し減産は必至で雇い止めをせざるを得ない」と説明され「従前のような契約更新や、空白期間後の再入社は期待できない」と判断し、雇い止めに関する契約書に「自らの意思で署名した」と認定。「男性が雇用継続を期待していたとは認めがたい」と結論付けた。(共同通信)




■■オリンパス社員が逆転勝訴/社内通報訴訟で東京高裁

社内のコンプライアンス(法令順守)窓口への通報で不当に配置転換されたとして、大手精密機器メーカー「オリンパス」(東京)の社員が会社側に1,000 万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は8月31日、請求を棄却した一審東京地裁判決を変更、配転を無効と認め、220万円の支払いを 命じた。

鈴木健太裁判長は、社員の上司が「内部通報に反感を抱いて、必要のない配転命令をした」と指摘。内部通報による不利益な取り扱いを禁止した社内の運用規定にも反するとして「人事権の乱用」と判断した。

同社の対応についても「通報窓口の担当者は秘密を守って、適正に処理しなければいけなかったのに、守秘義務に違反した」と述べた。

配転で「昇格、昇給の機会を事実上失わせ、人格的評価をおとしめた」と認定配転後に新入社員同様の勉強をさせ、それをやゆした行為も「嫌がらせで違法」とし、精神的苦痛や賞与の減額分を損害と認めた。

社員の代理人弁護士によると、社内の内部通報規定をめぐる訴訟で、配転命令が違法と認められたのは初めて。

判決によると、社員は、上司が取引先の社員を不正に引き抜こうとしていることを知り、2007年6月に通報。窓口の担当者が社員の名前や内容を上司や人事 部などに漏らした後、営業職から3回にわたって別の部署に異動となり、新入社員用のテキストを使った学習をさせられるなどした。

昨年1月の一審判決は「配転は通報への報復とは認められない」として会社の裁量の範囲内としていた。(共同通信)


■■派遣切り訴訟で請求棄却/福井地裁

パナソニックの子会社で働いていた福井県敦賀市の元派遣社員の男性が「派遣切り」をされたとして、子会社と人材派遣会社に直接雇用や慰謝料100万円などを求めた訴訟の判決で、福井地裁は14日、請求を棄却した。

判決理由で坪井宣幸裁判長は「派遣会社が原告と雇用契約書を交わし労務管理を行っており、原告と子会社との労働契約の成立は認めることはできない」とした。

判決によると、男性は「日本ケイテム」(京都市)から派遣され、2005年2月から「パナソニックエレクトロニックデバイスジャパン」(大阪府)の敦賀市の工場で勤務。同社は福井労働局から雇用の安定を図るよう是正指導を受け、06年1月にアルバイトとしての直接雇用を打診したが、男性が承諾しなかったため休業を命じ、同年3月に契約期間が終了した。(共同通信)


■■みなし労働は二審も不適用/添乗業務の残業代請求訴訟

添乗員に「事業場外みなし労働制」は適用されないとして、派遣添乗員の女性が阪急トラベルサポート(HTS、大阪市)に未払い残業代など計約112万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は14日、全額を認めた一審判決を変更し、約102万円に減額した。

制度は労働基準法で定められており、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされるが、判決は一審同様に適用を否定した。添乗業務をめぐる同種の訴訟は、一審の結論が分かれており、高裁段階での初判断。

女性は「ほぼ主張が肯定される結果でうれしい」と話した。

福田剛久裁判長は「旅行行程の指示書や、添乗員が出発や到着時刻などを詳細に記載した日報があり、添乗は労働時間を算定し難い業務に当たらない」とし、記録が残っていない一部のツアーを除く未払い残業代を約51万円と算定。労基法が制裁的な意味合いで規定している同額の「付加金」も一審に続き認めた

判決によると、HTSは2007年3月〜08年1月、事業場外みなし労働制の適用を理由に残業代を支払わなかった。(共同通信)


■■過労自殺、遺族の勝訴確定/ニコンなどの上告退ける

光学機器大手ニコンの埼玉県の工場に派遣されていた男性が自殺したのは劣悪な勤務環境でのうつ病が原因として、遺族が同社と名古屋市の業務請負会社に計約 1億4,000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は1日までに、両社の上告を退ける決定をした。計約7,000万円の支 払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。9月30日付。

男性は1999年3月に23歳で自殺した。原告は岩手県一関市に住む母親。

二審判決は一審東京地裁判決同様、自殺原因を過労によるうつ病とし、派遣元と派遣先双方の注意義務違反を認定。「製造業への派遣を禁じた当時の労働者派遣法に反していた」とも指摘した。

請負会社は「うつ病の発症から自殺までの期間が短く、結果回避の可能性が低かった」と主張。一審判決は減額理由としたが、二審判決は「過失の重大性と直接関係がない」と否定した。

二審判決によると、男性は窓や休憩スペースのない部屋で製品検査業務を担当。不規則な長時間勤務が続き、退職を申し入れたが認められず無断欠勤となり、寮で自殺した。(共同通信)


■■ホテルと従業員ら和解/「万世閣」の残業代訴訟

北海道洞爺湖町のホテルチェーン「万世閣」の従業員ら13人が、残業代が未払いだとして、計約1億4,000万円の支払いを求めた二つの訴訟は20日、札幌地裁(千葉和則裁判長)で和解が成立した。

従業員側の弁護士によると、会社側が労働時間の管理に不備があったと認めて和解金を支払う。双方は額を明らかにしていない。

13人は「洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラス」(洞爺湖町)と「登別万世閣」(登別市)で調理師として勤務。タイムカードがなく、残業代が支給されなかったとして、2006年11月から3年分の未払い賃金などの支払いを求めていた。

万世閣は「タイムレコーダー導入前は労働時間の管理に不備があった。今後は適切に管理したい」とコメントした。(共同通信)


■■ノキア所長の労災死認定/「接待も業務」と大阪地裁

携帯電話メーカー「ノキア」の日本法人で、大阪事務所長だった男性が在職死したのは過労が原因として、東京都大田区の妻が遺族補償年金などの支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は26日、不支給とした大阪中央労働基準監督署の処分を取り消した。

中村哲裁判長は、会社での会議後などにあったボーダフォンなど取引先の接待について、男性は酒が飲めなかったにもかかわらず週5回ほど開かれていたことや、費用が会社負担だったことを指摘。「技術的な議論が交わされており、ほとんどが業務の延長」と判断し、労働時間に算入した。

またトラブル対応のため、24時間携帯電話の電源をオンにすることが求められていたことなどにも触れ「不規則な勤務状態にあった」と指摘。死亡1〜6カ月前の時間外労働と合わせ「業務上の重い負担により死亡した」と認定した。

判決によると、男性は西日本地方の通信ネットワークの保守管理などを担っていたが2005年9月、接待先の居酒屋でくも膜下出血を発症、翌月56歳で死亡した。妻は遺族補償年金と葬祭料の請求をしたが、同労基署は06年、労災を認めず、不支給処分とした。(共同通信)


■■日航側に20万円支払い命令/乗務員雇用の継続は認めず

日本航空で契約制の客室乗務員だった女性が、退職を強要され雇用契約も不当に打ち切られたとして、日航側に慰謝料500万円などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は10月31日、20万円の支払いを命じた。

古久保正人裁判官は、退職を拒否していた女性に対し、上司が「辞めていただくのが筋」「懲戒免職になった方がいいのか」と発言した点は「直接的な表現を用いた違法な退職勧奨」と指摘。

一方「女性は業務上のミスを繰り返し、客室乗務員の適性を欠くという評価は、複数の上司がおおむね一致している」と述べ、「雇用打ち切りが不合理とはいえない」と判断した。

判決によると、女性は「1年ごとに業務適性などを考慮して雇用契約を更新することがある」との条件で2008年5月に入社。10年4月いっぱいで雇い止めとなった。

日航は「判決内容を確認した上で今後の対応を検討する」としている。(共同通信)


■■裁量否定、残業代認める/要件満たさずと京都地裁

裁量労働制を適用され、京都市のコンピューター会社「エーディーディー」でシステムエンジニアとして勤務していた男性が、実際は裁量外の労働をしていたとして、会社に残業代など約1,600万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁は10月31日、約1,140万円の支払いを命じた。

裁量労働は仕事の進め方などを個人に委ね、労使で決めた労働時間を働いたとみなして、残業代は支払われない制度。男性の代理人弁護士は「裁量労働制を採用していたのに適用せず、残業が認められたのは珍しい」としている。

判決理由で大島真一裁判官は、男性は裁量労働が採用されるシステムエンジニアだったが、裁量が認められないプログラミングや営業活動に従事していたと指摘。「要件を満たしていると認められない」と判断した。

判決によると、男性は2002年ごろからエーディーディーに勤務し09年3月に退職。退職前の約5カ月間は、毎月約80〜140時間残業していた。07年7月以降の残業代を請求していた。

会社側の代理人弁護士は「システムエンジニアの職務の実態を裁判所が理解していない。主張が受け入れられず残念」とコメントした。(共同通信)


■■「派遣切り」は信義則違反/三菱電機に慰謝料命じる

三菱電機名古屋製作所(名古屋市東区)で「派遣切り」をされたとして、36〜45歳の元派遣社員の男女3人が三菱電機に慰謝料の支払いなどを求めた訴訟で、名古屋地裁は2日、同社に計約140万円の支払いを命じる判決を言い渡した。正社員としての地位確認は認めなかった。

田近年則裁判長は判決理由で「リーマン・ショックで雇用情勢が厳しい中での突然の派遣切りで、経済的、精神的な打撃は甚大。派遣先として信義則違反の不法行為が成立する」と述べた。

また、うち2人について、同製作所で働き始めた2002年と03年は、請負社員として派遣された「偽装請負」だったと指摘。「労働者派遣法の規制をないがしろにしながら、自社の生産の都合で派遣契約を中途解約し、身勝手だ」とした。

判決によると、三菱電機は08年12月、3人の派遣契約の中途解約を通告し、派遣会社が09年1〜2月に解雇した。

原告の男性は判決後の記者会見で「当時、日本中で派遣労働者が職と住居を奪われたが、派遣先企業は責任を追及されなかった。責任を認めてもらい達成感がある」と話した。

三菱電機広報部は「判決の詳細を検討して対応を決めたい」とコメントした。(共同通信)


■■「雇用契約ない」と棄却/山陰放送の派遣めぐり

山陰放送(鳥取県米子市)の大阪支社で派遣社員として勤務していた女性が「暗黙の雇用契約があった」などとして地位確認などを求めた訴訟で、大阪地裁は4日、請求を棄却した。

峯金容子裁判官は判決理由で、女性が派遣元と雇用契約を結んだことや、派遣元が一応の労務管理をしていたことなどに触れ「雇用契約関係が成立していたとは認められない」とした。

判決によると、女性は2002年から山陰放送大阪支社に派遣された。10年に大阪労働局が女性の派遣期間が受け入れ可能期間を超えているなどとして是正指導したことを受け、同社が派遣元との派遣契約の解消を決定。派遣元は女性に雇用契約の終了を通知した。

山陰放送は「当社の主張が認められたと評価している」としている。(共同通信)


■■休業補償給付の不支給取り消す/地裁「仕事でうつ」認定

仕事が原因でそううつ病になり休業したのに、広島中央労働基準監督署が休業補償給付を支給しなかったのは不当として、大手建設会社「大林組」の元男性社員が不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、広島地裁は9日、取り消しを命じた。

判決理由で植屋伸一裁判長は「それまでに精神科への受診歴もないことを考えると、病気と業務との因果関係を肯定できる」と述べた。

さらに工事現場の所長として相当の精神的、身体的ストレスを受けていたことや、工事ミスで発注者側から罵倒され、土下座させられるなど屈辱的な対応を迫られたことなど男性側の主張を全面的に認めた。

判決によると、男性は1995年10月、大林組が他の建設会社と共同で中国電力から受注した大崎発電所(広島県大崎上島町)の桟橋工事の工事事務所長に就任。仕事のストレスから97年1月と2月に自殺を図ったが未遂に終わり、その後そううつ病と診断された。

広島労働局は「控訴を含め関係機関と協議して対応を判断したい」とコメントした。(共同通信)


■■過労死の企業名公開命じる/大阪地裁が初の判決

過労死などで社員が労災認定を受けた企業名を情報公開しないとした大阪労働局の決定の適否が争われた訴訟の判決で大阪地裁は10日、「公開しても社員のプライバシーや、企業の信用を傷つける恐れはなく、不開示は違法」と判断し、労働局の決定を取り消した。

原告側弁護団によると、企業名の情報開示を認めた判決は初めてで、「企業側が社会的監視にさらされることで、過労死をなくす努力をより強く求められることになる。健康管理態勢の改善につながる画期的な判決だ」と評価している。

田中健治裁判長は判決理由で、企業名を公開した場合の影響について検討。「社員の病名、職種など、労働局が公開して一般人が入手できる情報と企業名を照合しても、特定の個人を識別することは不可能だ」としてプライバシー侵害の可能性を否定した。

さらに「企業の社会的評価が低下する抽象的な可能性はあるとしても、情報公開でただちに取引先の信用を失うなど、適正な企業活動に支障が生じるおそれは認められない」と判断した。

労働局側は「労災を発生させたことを広く知られるのを恐れた企業側が、就労実態調査に協力的でなくなる」と主張したが田中裁判長は「一般的には想定できない」と退けた。

判決によると原告の市民団体代表の女性は2009年3月、02年4月以降に大阪労働局管内で脳梗塞やくも膜下出血、心筋梗塞などで労災補償をした事例の記録について、企業名などを開示するよう求めたが、労働局は09年4月、企業名を不開示とした。

判決は04年度作成の記録についてだけは、企業名の記載欄がないことを理由に、請求を棄却した。(共同通信)


■■再雇用拒否は合理的/OBの請求を棄却

神戸市兵庫区の船舶機器販売会社を定年退職した男性が、職務能力などに関する現役社員へのアンケートで点数が低かったことを理由に再雇用を拒否されたとして、地位確認と給与支払いを求めた訴訟の判決で、神戸地裁は25日、請求を棄却した。

判決理由で金子隆雄裁判官は「アンケートは協調性の物差しの意味で有意義だ」と指摘。男性に点数を通知し、改善すべき点を伝えながら実施していることから「継続雇用制度の理念からさほど離れていない」と述べ、会社の再雇用規定は合理的だと認めた。

判決によると、男性は定年後の再雇用を希望していたが、会社は2008年6月に「コミュニケーション能力に乏しい」として拒否した。(共同通信)


■■うつ病自殺で労災認定/旧ジェイフォン社員

旧ジェイフォン(現ソフトバンクモバイル)の社員だった男性がうつ病で自殺したのは過労が原因で労災だとして、男性の妻が国に遺族補償年金の不支給処分取り消しを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は14日、原告側の主張を全面的に認め、処分を取り消した。

判決理由で田近年則裁判長は、専門知識のない携帯電話の基地局開局業務で月100時間以上の時間外労働をしたとして「質的にも量的にも大きな負担で、うつ病を発症させる危険性を十分有していた」と認定。

業務上のストレスが続き、うつ病は一度も治癒することなく、症状の悪化を繰り返し次第に慢性化したと判断した。

自殺する直前には退職か異動を迫るような上司の発言もあり、「決定的にうつ病が増悪し自殺に及んだ」とし、約8年にわたりうつ病を抱えて働き続けて自殺したとする原告側の訴えを認めた。

国側は、いったん治癒していたとして発症の時期に異議を唱えていた。

原告側代理人は、長期間のうつ病で勤務を続けた人の労災が認められるのは珍しいとしている。

判決によると、男性は音響機器メーカーからジェイフォンの前身の「東海デジタルホン」に出向し開局業務に従事したが、1994年11月ごろにうつ病を発症。2001年4月にジェイフォン東海に移籍したが、物流部門に異動した直後の02年12月に自殺した。

男性の妻は判決後、記者会見し「長い戦いだった」と振り返り「お父さん、やっと認めてもらったよ」とほほ笑んだ。

名古屋西労働基準監督署は「内容を検討した上で、関係機関とも協議して今後の対応を決めたい」とした。(共同通信)


■■万世閣の解雇は無効/元従業員が勝訴、札幌

北海道の観光ホテルチェーン、万世閣(洞爺湖町)を解雇された調理部顧問ら3人が、地位確認などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(竹田光広裁判長)は25日、元顧問の解雇を無効と認め、慰謝料44万円と解雇時にさかのぼって毎月30万円の賃金を支払うようホテル側に命じた。

地位確認を求めなかった2人の元従業員についても、不当な解雇だったなどとして、未払い賃金と損害賠償の計約770万円の支払いを命じた。

判決によると、万世閣は2008年10月、長時間労働を問題視する発言をしていた元顧問ら2人を「考え方が違う」などとして解雇。09年11月には、労働組合脱退の働き掛けを拒否した1人を定年後再雇用しなかった。

判決は「解雇は権利の乱用。再雇用を認めなかったことも、組合活動を理由に会社から排除しようとした悪意のある違法行為だ」と指摘した。万世閣は「判決内容を精査し、対応を検討したい」とコメントした。(共同通信)


■■飲酒運転の懲戒免職は適法、高知県が逆転勝訴

飲酒運転による物損事故で懲戒免職となった元高知県職員の男性が、県に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、高松高裁は10日、処分を取り消した一審高知地裁判決を取り消し、男性の請求を棄却した。

一審判決は「飲酒運転に対する規範意識の高まりを考慮しても、処分は厳しすぎ、社会通念上妥当性を欠く」としたが、小野洋一裁判長は「物損にとどまらず、 人身事故につながった危険性が高く、公務員に対する信頼を失わせた」と指摘。「処分は裁量権の範囲を逸脱、乱用したとは認められない」と判断した。

判決によると、高知土木事務所の主任技師だった男性は2009年4月、高知県土佐市の居酒屋などで飲酒後、乗用車で帰宅中に信号機に衝突する事故を起こ し、呼気1リットルあたり0.7ミリグラムのアルコールが検出されたため道交法違反(酒酔い運転)で逮捕され、同年5月に懲戒免職となった。

高知県は1997年、全国に先駆けて「飲酒運転の職員は原則として免職」という基準を導入。県は「適正な判断がなされた。今後も服務規律の徹底に努めたい」とコメントした。(共同通信)


■■「協力員は労働者」と認定/高齢者住宅、残業代命じる

東京都多摩市の高齢者世話付き住宅で生活協力員をしていた同市の男性(57)が、雇用契約を結んでいた社会福祉法人に残業代など約1,300万円の支払い を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の大橋寛明裁判長は12日、請求棄却の一審東京地裁八王子支部判決を変更、労働基準法上の労働者に当たるとして、約 40万円の支払いを命じた。

高齢者世話付き住宅は、国のシルバーハウジング事業に基づいて各自治体が設置。男性の代理人弁護士は「生活協力員を労働者と認めた判決は初めて。同様の住宅で働く人たちへの影響は大きい」と話している。

判決は、住み込みで高齢者の安否確認や緊急時の対応などをしていた男性の業務内容を検討し、労働者と認定。労基法が定める1日8時間の労働時間を超える8時間半の勤務で契約しており、請求権が残る2005年以降の残業代を認めた。

社会福祉法人に業務を委託していた多摩市が時間外賃金の規定を設けておらず、大橋裁判長は「制度設計で労基法の検討が不十分だった」と指摘した。(共同通信)


■■「執行役員は労働者」/初の判断、東京地裁

大阪府茨木市にある建設機械販売会社の執行役員を務め、勤務中に死亡した男性=当時(62)=が労災保険法上の労働者かどうかが争われた訴訟の判決で、東 京地裁の青野洋士裁判長は19日、労働実態に即し「労働者に当たる」と判断した。原告側の弁護士によると、執行役員を労働者と認めた全国初の判決という。

男性の妻(61)が、遺族補償を不支給とした労働基準監督署の処分を不当と訴えていた。判決は処分を取り消したが、業務と死亡の因果関係は判断せず、原告側は判決が確定すればあらためて「過重労働による労災」として、給付を請求する。

判決理由で青野裁判長は「労災保険法上の労働者は、労働基準法上の労働者と同一」とし、実際の労働状況から判断すべきだと指摘。男性の業務内容は執行役員になってからも一般従業員の時と変わらず「会社の指揮監督の下で業務を行い、対価として報酬を受けていた。従業員としての実質があった」と結論付けた。

判決によると、男性は執行役員と千葉県船橋市の営業所部長を兼ねていた2005年2月、出張先の福島県内で倒れ死亡した。妻がその後、船橋労基署に遺族補償給付を請求したが退けられ、09年2月に提訴した。(共同通信)


■■「名ばかり店長」が勝訴、コンビニ会社に支払い命令

コンビニ「SHOP99」の元店長が、権限や裁量がないのに管理監督者とされ残業代が支給されなかったとして、未払い賃金や慰謝料など計約450万円の支 払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁立川支部は5月31日、計約165万円を支払うよう運営会社「九九プラス」(東京)に命じた。

同社は「主張が認められず残念。判決内容を確認し、控訴するか検討する」としている。

判決は、労働基準法で制裁的意味を持つ「付加金」20万円も認めており、記者会見した原告側の笹山尚人弁護士は「付加金が認められるのは珍しい。会社側が非常に悪質だと判断した結果だ」と話した。

判決理由で飯塚宏裁判長は「取扱商品の決定権限がなく、出退勤も自由裁量がなかった」などとして、元店長が管理監督者には当たらないと判断した。

判決によると、元店長は2006年9月に入社。07年6月に店長になったが、9月にうつ病と診断され、10月から休職している。判決は勤務が長時間で不規則だったことなどから、うつ病を発症したと認定した。

訴訟を支援してきた首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「正社員で店長だったのに、極めて低賃金で使い捨てにされた。名ばかり管理職どころではない」と話した。(共同通信)


■■タクシー運転手の解雇無効 「必要性欠き権利濫用」

タクシー減車を理由とした一方的な雇い止めは解雇権の濫用だとして、元運転手の男性3人が札幌市西区の鈴蘭交通に地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟で、札幌地裁は6日、雇い止めを無効とし賃金の支払いを命じた。

判決理由で宮崎謙裁判官は「減車の時期や台数がはっきりしない中、自発的な退職による自然減を考慮しないで雇い止めをした。合理性と必要性を欠き、解雇権の濫用だ」と述べた。

判決によると、鈴蘭交通は、タクシー事業適正化・活性化特別措置法に伴い、減車を計画。2009年12月〜10年12月に原告ら嘱託運転手34人を雇い止めにする一方、タクシー17台を減らした。

法律はタクシーの供給過剰解消などを目的としており、鈴蘭交通は「減車は免れず、余剰人員削減が必要だった」と訴えたが、判決は「雇い止め後に運転手が不足するなど、人員対策としては無意味だった」と退けた。(共同通信)


■■「割増賃金、相殺は違法」/タクシー会社に支払い命令

時間外や深夜労働の割増賃金が支給されないとして、タクシー運転手の男性4人が札幌市清田区の三和交通に未払い賃金など計約860万円を請求した訴訟の判決で、札幌地裁は25日、計約520万円の支払いを命じた。

判決理由で千葉和則裁判長は「賃金規定上、割増賃金を支払うよう定めているが、歩合給を調整することで結局、増額分を相殺している。労働基準法違反だ」と述べた。

判決によると、三和交通は、時間外や深夜に働くと割り増し分を支払う一方、歩合給が減る仕組みを採用。実質的には割増賃金が支払われず、2008年1月〜10年3月の4人への不支給額は計約300万円に上った。

三和交通は「納得できず、控訴も含めて検討したい」とコメントした。(共同通信)


■■過労死認めた逆転勝訴確定/心臓疾患障害者の労災訴訟

心臓障害を抱えて愛知県豊川市の家電量販店で働き、2000年に死亡した男性=当時(37)=の妻が、遺族補償年金を不支給とした国の処分取り消しを求め た訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は22日までに、国側の上告を受理しない決定をした。過労による労災と認めた原告逆転勝訴の二審判決が確定 した。

一審名古屋地裁は「心臓疾患の危険が増えるとされる時間外労働の1カ月45時間を下回っている」と平均的労働者の労災基準を基に請求を棄却。

しかし二審名古屋高裁は「身体障害者への労災適用の判断基準は平均的労働者ではなく、個別の事情を考慮すべきだ」と指摘。医師に禁じられた月33時間の時間外労働があった点などから「過重業務による疲労、ストレスの蓄積で死亡した」と判断した。

二審判決によると、男性は心臓機能障害の身体障害者3級だった。00年11月に家電量販店に採用されたが、翌月、致死性不整脈で死亡。豊橋労働基準監督署は遺族の労災申請を認めず、再審査請求も退けられていた。(共同通信)



■■非常勤講師の解雇無効/新潟地裁が“救済”判決

新潟県加茂市の私立加茂暁星高で非常勤講師を務めていた女性2人が、1年契約で長年雇用されてきたのに一方的に雇い止めにされたのは不当として、地位確認 などを求めた訴訟の判決で、新潟地裁(谷田好史裁判官)は12月22日、解雇を無効とし、2人に約190万円と約300万円の未払い賃金を支払うよう学校 側に命じた。

訴えていたのは理科を教える女性と、数学を教える女性。記者会見した2人は「常勤の教員と同等の仕事をしてきた。全国の非常勤で働く人を救う画期的な判決になった」と話した。

判決によると、2人は産休期間を除き25年と17年にわたり、1年契約を更新しながら同校に勤務。学校側は2007年2月、生徒数減少や経営状態悪化を理由に2人に雇用を継続しないと伝え、同3月末で雇い止めにした。

判決は「
長年勤めた2人が雇用継続を期待することには合理性がある」と指摘した。(共同通信)


■■中国実習生の過労死初認定/工場で残業100時間超

外国人研修・技能実習制度で来日し、実習生として茨城県潮来市の金属加工会社フジ電化工業で働いていた中国人の男性=当時(31)=が2008年に死亡し た問題で、鹿嶋労働基準監督署は12日までに、長時間労働が原因の過労死として労災認定した。労基署によると、外国人実習生の過労死認定は国内初。

鹿嶋労基署によると、男性は05年に研修生として来日し、同社の金属部品メッキ処理工場に勤務。08年6月、心不全のため社宅で死亡した。亡くなる直前の1カ月の残業時間は100時間を超えていた。遺族が09年8月、労災申請した。

遺族側代理人の指宿昭一弁護士は「実習生になった2年目以降、残業は月間150時間に上り、休みは月に2日ほどだけだった。同様に働かされ過ぎて亡くなった外国人実習生は全国にいるが、多くが闇に葬り去られている。今回の件は氷山の一角で、過労死認定は遅すぎた」と話した。

問題をめぐって茨城県の麻生区検は昨年12月、労働基準法違反の罪でフジ電化工業の社長(67)と法人としての会社を略式起訴。麻生簡裁がそれぞれ罰金50万円の略式命令を出し、確定した。

起訴状によると、2008年3〜5月、男性ら中国人実習生に違法な時間外労働をさせた上、割増賃金約45万円を支払わなかった。(共同通信)


■■連続深夜勤のうつ病認めず/郵便事業社員が逆転敗訴

うつ病を発症した郵便事業会社の男性社員2人が、健康上のリスクが高い連続深夜勤は違法で就労義務がないことの確認などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京 高裁は20日、2人の発症と連続深夜勤との因果関係を認め計130万円の賠償を命じた一審判決を取り消し、原告側の逆転敗訴とした。

原田敏章裁判長は「うつ病と深夜勤との因果関係は一般的に明らかになっていない」と指摘し「発症前の超過勤務や休日労働はほとんどなく、過重な業務で心身の健康を害したものとも認められない」とした。

原告側弁護団は「不当な判決」として上告の意向を示した

判決によると、郵便事業会社の前身の日本郵政公社は2004年2月、深夜から早朝にわたる深夜勤について、勤務を終えた日の夜から再び出勤できるように就業規則を変更した。2人は変更時から07年9月までの間、月に2〜4回連続して深夜勤に入っていた。(共同通信)


■■出勤停止「重過ぎる」/金沢大准教授が勝訴

学生へのパワーハラスメント行為があったとして、金沢大から出勤停止処分を受けた同大医薬保健研究域所属の准教授(50)が処分の無効確認や慰謝料を求め た訴訟の判決で、金沢地裁は25日、「懲戒権の裁量を逸脱し重過ぎる」として処分を無効とし、大学に未払い賃金などの支払いを命じた。慰謝料については認 めなかった。
金沢大は「判決内容を検討の上、今後適切に対応したい」とのコメントを出した。

判決理由で中山誠一裁判長は、学生を叱ったことなど懲戒処分理由の一部を「金沢大が定めるハラスメント指針に該当する」としたが、「出勤停止の事例に該当 するとはいえない。6カ月の出勤停止処分は重過ぎ、懲戒権に関する裁量を逸脱している」とした。

判決などによると、金沢大は2008年5月、准教授が学生を叱るなどパワハラ行為をしたとして6カ月の出勤停止の懲戒処分にした。

准教授は判決後に記者会見し「勝訴になりうれしい。中断させられた研究を早く再開させてほしい」と話した。(共同通信)


■■解雇無効と賃金支払い命令 旧GW子会社に横浜地裁

人材派遣のアドバンテージ・リソーシング・ジャパン(旧グッドウィル・グループ)の子会社「テクノプロ・エンジニアリング」(東京)を解雇されたのは不当 として、神奈川県内の男性(40)が地位確認などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は25日、解雇を無効と認め、残業代などを除く毎月約30万円の賃金を解 雇時にさかのぼって支払うよう同社に命じた。

原告弁護団によると、2009年3月に発表された4,000人に上る同グループの人員削減計画をめぐり、解雇の無効が判決で認められるのは初めてという

判決理由で、深見敏正裁判長は「切迫した人員削減の必要性はなく、解雇を回避する努力を尽くしたとも認められない」などと指摘した。

判決によると、男性は1996年に正社員としてテクノプロ社に入り、メーカー工場に派遣されていたが、人員削減計画に伴い、2009年4月末に解雇された。会社側は1カ月前に解雇予告をしたが、具体的な解雇理由や経営状況は明らかにしなかった。
テクノプロ社は「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。(共同通信)


■■内部通報者の解雇は無効/賃金支払い命じる、松江

地方自治体職員らでつくる全日本自治体労働者共済生活協同組合(自治労共済)で、自動車共済をめぐる不正な契約があったと厚生労働省に通報した自治労共済 島根県支部職員の男性が、解雇は不当として地位確認などを求めた訴訟の判決で、松江地裁は2日、解雇を無効と認め、県支部に未払い賃金の支払いを命じた。

判決理由で三島恭子裁判官は、男性が職場のパソコンから無断で情報を得たことを「内部通報のために取得する必要があった」と指摘。その上で「(不正な契約による)法令違反の是正につながったことはむしろ被告の利益」と述べた。

判決によると、男性は2008年10月、自治労共済の全国15支部で、本来は認められない生計が異なる別居親族にも共済加入を認めるなどしていたことを厚労省に通報。島根県支部は09年8月、情報の不正取得を理由に解雇した。

男性は判決後「うれしい。当然の判決だと思う」と話した。県支部側は「コメントできない」としている。(共同通信)

■■二審も「解雇無効」判断/過労でうつ病と東芝元社員

過重労働でうつ病となったのに、休職期間終了を理由に解雇されたのは不当として、東芝の技術職の元社員が解雇無効の確認などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(岡久幸治裁判長)は23日、一審に続き、業務とうつ病との因果関係を認め解雇を無効とした。東芝側の敗訴。

一審東京地裁判決(2008年4月)が解雇を無効とし、慰謝料など約835万円と未払い賃金の支払いを命じたのに対し、東芝側、元社員側双方が控訴。岡久裁判長は双方の控訴を退け、労災認定による休業補償支給分などを差し引いた。

一審判決によると、元社員は埼玉県の深谷工場で00年から液晶生産ラインの開発などを担当。長時間の過重な労働で01年4月にうつ病と診断されて10月から欠勤していたが、会社は04年9月に解雇した。

元社員が国に労災の療養・休業補償の不支給処分取り消しを求めた別の訴訟では09年5月、東京地裁が処分を取り消し、労災と認めた。(共同通信)


■■マツダ社員自殺で賠償命令/「事後対応で苦痛」

うつ病になり自殺した自動車大手マツダ社員の男性=当時(25)=の両親が、会社に計約1億1,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁姫路 支部は2月28日、同社の事後対応による両親の精神的苦痛も認め、計約6,300万円の支払いを命じた。

中村隆次裁判長は判決理由で「自殺直前の労働は質的、量的に過剰で、自殺は業務に起因する」と指摘。「心身の健康への配慮を怠った」と、マツダの責任を認めた。
さらに「葬儀で上司が冗談を言うなどし、両親は二重に精神的苦痛を被った」と認定。原告代理人の弁護士は「事後対応を含めて責任を認定した例は珍しいのではないか」と話している。

男性の父親(63)は判決後に記者会見し「マツダは『全く責任がない』と自己保身の構えで事実を隠蔽し続けた。判決を真摯に受け止め、謝罪してほしい」と話した。
マツダ広報本部は「当社の主張が一部しか認められなかったことは残念だ」とコメントした。

判決によると、男性は2006年11月からエンジンのオイルフィルターの購買業務を担当。取引先との間でトラブルが頻発したが上司の支援はなく、長時間の残業などが重なりうつ病を発症、07年4月に自殺した。

広島中央労働基準監督署は09年1月、自殺は過労が原因として労災認定した。(共同通信)


■■急性アル中死「過労原因」/勤務先に6,000万円賠償命令

2006年に急性アルコール中毒で会社員の男性=当時(25)=が死亡したのは過労でうつ病などを発症したのが原因だとして、勤務先だったソフトウエア開 発会社「フォーカスシステムズ」(東京)に遺族が1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、業務と死亡の因果関係を認め、約 6,000万円の支払いを命じた。

遺族の代理人弁護士によると、精神障害を原因とする急性アルコール中毒死で企業の法的責任を認めたのは初めて。

上田哲裁判長は「男性の精神障害は、配置転換や月100時間を超える時間外労働で増大した心理的負荷が原因」と認定。その上で「過度の飲酒は、うつ病など精神障害による病的心理の下で起こった。会社は負荷を軽減せず、安全配慮義務を怠った」と判断した。

判決によると、男性は03年4月にシステムエンジニアとして入社、06年7月に携帯電話のシステム開発を担当する部署に異動した。約2カ月後に突然、さい たま市の自宅を出て、そのまま向かった京都市の鴨川沿いでウイスキーなどを大量に飲酒し、急性アルコール中毒で死亡した。中央労働基準監督署は 07年10月に男性を労災認定した。(共同通信)


■■内々定取り消し二審も勝訴/会社側に55万円支払い命令

不動産会社コーセーアールイー(福岡市中央区)が採用の内々定を一方的に取り消したのは違法として、大学生だった20代の女性が同社に約380万円の損害 賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は10日、一審福岡地裁判決に続いて会社側の責任を認め、賠償金を支払うよう命じた。賠償額は一審の 110万円から55万円に変更した。

判決理由で西謙二裁判長は、会社側が内々定後の女性に「経営が悪化しても大丈夫」と採用が確実と取れるような発言をしたことなどを指摘。「会社側の対応 は、法的保護に値するほど高まった労働契約締結への女性の期待に配慮しておらず、誠実なものとはいえない」と述べた。

判決によると、女性は大学4年だった2008年5月に内々定を通知され、入社承諾書を提出し就職活動を終えたが、内定式直前の同9月、世界的金融危機など経営環境の悪化を理由に内々定を取り消された。同社からはその後、具体的な説明はなかった。
コーセーアールイーの内々定の取り消しをめぐっては、30代男性が起こした別の訴訟で、同社に22万円を支払うよう命じた福岡高裁判決が確定している。(共同通信)


■■高裁も「労働時間」認定/産科医の当直賃金訴訟

病院の当直勤務は割増賃金が支払われる「時間外労働」に当たる、として、県立奈良病院の産科医2人が県に相当額の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪 高裁は16日、計約1,500万円の支払いを命じた一審奈良地裁判決と同様に「当直は労働時間」と認定。双方の控訴を棄却した。

産科医側の弁護士は「高裁では初めての判断。同様の問題は全国にあり、影響は大きい。労働環境の是正には医師を増やすしかなく、国レベルでの対応が必要だ」と話している。

判決理由で紙浦健二裁判長は、分娩の6割以上が当直時間帯だったことや、通常勤務と合わせて連続56時間勤務になることもあった過酷な労働実態に触れ「入院患者の正常分娩や手術を含む異常分娩への対処など、当直医に要請されるのは通常業務そのもので、労働基準法上の労働時間と言うべきだ」と指摘。

また、当直医は勤務を途中で離れられないことから「(実働時間以外も含む)当直勤務全体について割増賃金を支払う義務がある」とした。

呼び出しに備えて自宅などで待機する「宅直勤務」については、一審に続き労働時間と認めなかったが、紙浦裁判長は「負担が過重になっている疑いもある」と言及し、県知事らに実情調査と体制の見直しを促した。

判決によると、奈良病院の産婦人科では2004〜05年、医師5人のうち1人が交代で夜間や休日の当直勤務を担当。産科医2人は2年間で各約210 回、当直勤務に就いた。分娩に立ち会うことも多く、十分な睡眠時間が取りづらかったが、1回につき2万円の手当が支給されるだけで、時間外労働の割増賃金 は支払われていなかった。
(共同通信)

■添乗員みなし労働は妥当/残業代は支払い命令

阪急トラベルサポート(大阪市)から「事業場外みなし労働制」の適用を理由に残業代が支給されなかったとして、派遣添乗員6人が計約2,400万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は9月29日、適用を妥当と判断する一方、計約2,300万円の支払いを命じた。

事業場外みなし労働制は労働基準法で定められ、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされる。同社をめぐっては5月、東京地裁が別の添乗員のケースで適用条件を満たしていないと判断。7月には適用を妥当とする判決が出ており、判断が分かれている。

村田一広裁判官は「添乗員は長距離にわたる移動をし、旅程を管理するという業務の性質上、労働時間を認定することは困難が伴う」とみなし労働制の適用は適切と指摘。一方、添乗員らの従事したツアーごとにみなし労働時間を判断し、割増賃金計約1,140万円と、さらに同額の付加金も併せて支払うよう認定した。

同社は「みなし労働時間制の適用が認められたことは妥当と考える」とのコメントを出した。原告側はみなし労働時間制の適用を不服として控訴する方針。(共同通信)


■上司の叱責「心理的負担」 会社員自殺、労災認める

1999年に自殺した出光タンカー(東京)の男性社員の名古屋市在住の遺族が「上司の厳しい叱責などが原因だ」として、国に対し労災と認めなかった処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、請求を認めた。

渡辺弘裁判長は、直属の上司による叱責は (1)ほかの人が見ている場所で公然と行った (2)感情的表現が多く「死ね」などの暴言もあった (3)他部署からも注意を受けるほどだった―などとして「企業での一般的な水準を超えていた」と指摘。

さらに「同僚や別の上司らに改善を訴えても状況が改善されず、男性の心理的負荷は精神的な障害を起こすほど過重だった」として、自殺は業務が原因と結論付けた。

判決によると、男性は97年7月に出光興産から出光タンカーに出向し経理などを担当。99年7月ごろ、うつ病の状態に陥り同26日に自殺した。遺族は2001年に労災申請したが、新宿労働基準監督署が03年に不支給とし、再審査も退けられた。(共同通信)


■自殺男性の労災、逆転認定/過剰業務やノルマ、愛知

2005年9月に自殺した食品会社の男性社員の遺族が行った労災申請について、認定を退けた名古屋南労基署の決定を愛知労働局の労災保険審査官が取り消したことが8月31日、遺族側代理人への取材で分かった。過剰な業務やノルマが自殺につながったとし、労災認定した。

代理人によると、男性は愛知県の営業所に勤務し、自殺の数カ月前からスーパーでの試食販売など不慣れな作業を命じられ、月約75〜130時間の時間外労働が続いた。自殺した月は前月より約400万円多い約1,100万円の売り上げノルマを課せられていた。

男性は長野県で橋から川に飛び降り自殺し、遺族が08年7月に労基署に労災認定を求めた。

労基署の労災認定に不服の場合、本人や遺族は審査官に審査を求めることができる。(共同通信)


■社員の自殺は労災/地裁が労基署決定取り消し

2002年5月に自殺した川崎重工業(神戸市)の男性社員の妻が、労災を認めず遺族補償年金を不支給とした神戸東労働基準監督署の決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、神戸地裁は3日「自殺は業務に起因する」として決定を取り消した。

矢尾和子裁判長は判決理由で、男性が部署をまとめる立場にあった点に触れた上、業績が上がらないことへの心理的負担があり「ストレスは相当強度なものだったと評価できる」と指摘した。

判決によると、男性は輸送システムグループのグループ長だったが仕事を受注できず、00年12月にうつ病と診断された。その後も取引先との交渉が難航するなどして02年5月に自殺した。妻は遺族補償年金を請求したが、03年9月に不支給とされた。

妻の代理人は「ポストによる心理的重圧をきちんと評価した判決」と述べ、妻は「本人の名誉が守られた」と語った。

同労基署を管轄する兵庫労働局は「関係機関と協議して対応を決めたい」とのコメントを出した。(共同通信)


■過労自殺訴訟で遺族と和解/九電工が8,000万円支払い

2004年にうつ病を発症し自殺したのは長時間労働が原因として、九電工(福岡市南区)の元社員の妻と両親が同社に計約1億1,900万円の損害賠償などを求めた訴訟は9日、九電工が解決金約8,000万円を支払うことで、福岡高裁(古賀寛裁判長)で和解が成立した。

原告側弁護士によると、和解条項では元社員の死亡が同社の労働時間の管理に起因すると認められた。妻は記者会見で「2度と過労死が起きないように、会社には最大限の努力をしてほしい」と話した。

元社員は空調衛生施設工事の現場監督で、顧客企業への対応とともに施工図も作成。04年7月にうつ病になり、9月に自宅マンションから飛び降り自殺した。

09年12月の一審福岡地裁判決は、死亡前に月平均150時間を超える時間外労働があったと認め「極めて大きな負荷だった」と指摘、約6,900万円の損害賠償などを命じた。福岡中央労働基準監督署は07年に労災と認定したが、九電工は一貫して業務と死亡の因果関係を否定していた。

九電工は「今後、同種事件の再発防止に向け、取り組んでまいります」とのコメントを出した。(共同通信)


■業務懈怠を理由とする雇止めには相当の合理性あり/中労委

会社が組合員である嘱託従業員との有期雇用契約について、業務懈怠等を理由として雇止めを行ったこと等が不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事 件の再審査で、中央労働委員会は10日、組合員が再三にわたり所定休憩時間を大幅に超過して休憩を取るなどの事実があるとして、組合の再審査申立てを棄却 した。


■バイク便も「労働者」認定/中労委、会社に交渉命令

中労委は15日、会社と請負契約を結んでバイクや自転車で書類などを運ぶ運転手は労働組合法上の「労働者」に当たると認定し、バイク便大手「ソクハイ」(東京)に対し、労働組合との団体交渉に応じることなどを命じる救済命令を出した。

命令書によると、都内の営業所長を務めていた男性が2007年に組合を結成して団交を要求したが、ソクハイは拒否。東京都労働委員会が昨年6月、団交に応じるよう命じ、同社が再審査を申し立てていた。

中労委は「会社から独立して配送業務の依頼を受けているのではなく、会社に不可欠な労働力を恒常的に供給する者として、会社の事業に強く組み込まれている」と判断した。

ソクハイは「担当者がいないので対応できない」としている。

厚生労働省は07年、バイク便運転手が個人請負の形で契約しているのは労働実態に合っていないとして、各社に契約を見直して直接雇用するよう指導する通達を出している。(共同通信)


■たばこ臭いと大型扇風機/元上司と会社に賠償命令

「たばこ臭い」と大型扇風機の強い風を直近から当てられるなどの嫌がらせで精神的苦痛を受けたとして、外資系の消費者金融「日本ファンド」(東京)の男性 契約社員3人が、元上司や会社に計約700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、約150万円の支払いを命じた。

石井浩裁判長は、元上司には心臓に持病があったとした上で「発作を防ぐためにたばこのにおいを避けようとしたことを考慮しても、嫌がらせ目的で長期間にわ たって風を当てた行為は身体への不快感や精神的苦痛を与え、不法行為に当たる」と判断。会社にも使用者責任があるとした。

判決によると、元上司は3人のうち喫煙者の2人に2007年12月ごろから「たばこ臭い」として繰り返し業務用扇風機の風を当てた。ほかにも特定の新聞の購読を迫ったり、理由もなく殴ったりした。

原告側によると、3人は08年6月に労組へ加入し、パワハラの中止や実態調査を要求したのに対し、会社が元上司に事情を聴いただけで「パワハラはなかった」としたため提訴した。元上司は昨年12月に健康上の理由で退職したという。(共同通信)


■パワハラ被害は認めず/東横イン元従業員の訴訟

鳥取県米子市のホテルで副支配人だった女性が「上司のパワハラで退職に追い込まれた」として、ホテルチェーン東横イン(東京)に損害賠償などを求めた訴訟の判決で鳥取地裁は8日、未払いの深夜勤務手当約15万円の支払いを命じたが、パワハラの被害は認定しなかった。

女性は約680万円の損害賠償を求めていたが、空閑直樹裁判官は「会議欠席の注意などは人格権侵害とはいえない。ほかにもパワハラと認められる証拠はない」と判断した。

判決によると、女性は2007年4月に支配人候補として入社し、営業や宣伝などを担当。08年1月末に退職した。(共同通信)


■店側に残業代支払い命令/「変形労働時間」認めず

パスタチェーン「洋麺屋五右衛門」のアルバイト店員だった東京都内の20代男性が、チェーンを展開する日本レストランシステム(東京)に未払い残業代など約20万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、約12万円の支払いを命じた。

会社側は、業務の繁忙度に応じ、日によって勤務時間が変わる「変形労働時間制」を採用していることから残業代の未払いはないと主張したが、藤井聖悟裁判官は「就業規則などで制度の内容を明らかにしておらず、労働基準法上の要件を満たしていない」と判断。

請求通り、会社には約20万円の支払い義務があると認定したほか「十分な根拠なく支払いを拒んだ」として、労基法に基づく支払い拒否の付加金も認容額に加えたが、時効で男性の請求権が一部失われたとした。

判決によると、男性は2004年7月〜09年3月、東京・錦糸町の店舗で調理や接客を担当。1日3〜11時間働いたが、変形労働時間制を理由に一部の残業代などが支払われなかった。(共同通信)


■元河合塾講師が逆転敗訴/契約打ち切り「正当」

大手予備校「河合塾」(本部・名古屋市)の非常勤講師だった男性が、25年間毎年更新された契約を打ち切ったのは違法な雇い止めに当たるとして、地位確認 などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は27日、慰謝料請求だけを認め河合塾に350万円の支払いを命じた二審判決を破棄し、男性の訴えを退 けた。男性側の逆転敗訴が確定。

田原睦夫裁判長は「契約更新をめぐる男性と河合塾の交渉で、河合塾側が不適切な説明をしたり、不当な手段を用いたりした事情はない」と判断した。

判決によると、男性は1981年度から2005年度までの25年間、九州河合塾(88年の合併後は河合塾)と1年ごとに公民などの担当として契約を結んだ。河合塾は05年12月、生徒数の減少などを理由に06年度以降の講義数を週7コマから4コマへの削減を提示。男性が拒んでいるうちに契約期間が過ぎ、更新されなかった。(共同通信)


■添乗員にみなし労働不適用/残業代全額の支払いを命令

阪急トラベルサポート(HTS、大阪市)が「事業場外みなし労働制」の適用を理由に残業代を支給しなかったとして、派遣添乗員の女性が未払い分に付加金を上乗せした計約110万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁の鈴木拓児裁判官は11日、請求を全面的に認めた。

事業場外みなし労働制は労働基準法で定められ、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされる制度。

判決理由で鈴木裁判官は「HTSは派遣添乗員にマニュアルで業務を詳細に指示してツアーを管理し、モーニングコールで遅刻を防ぐ措置なども講じており、労働時間は把握可能だ」と指摘、制度の適用条件を満たしていないと結論付けた。

その上で「派遣添乗員には制度が適用されないとする労働基準監督署の指導にも従わず、過去の割増賃金を支払う姿勢がない」とHTSを非難。労基法の規定に基づき、悪質なケースに当たるとして未払い分約56万円と同額の付加金も認定した

判決によると、HTSは2007年3月〜08年1月、事業場外みなし労働制の適用を理由に残業代を支払わなかった。(共同通信)


■自殺との因果関係認めず/セクハラ訴訟判決

2008年に三重県志摩市の近畿日本鉄道系リゾート施設「賢島宝生苑」の女性社員が自殺したのは、職場でのセクハラ(性的嫌がらせ)で統合失調症になった のが原因として、両親が同社に1億円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決で、津地裁(福渡裕貴裁判官)は19日、セクハラの事実を認め、計20万円の支払い を命じた。セクハラと自殺の因果関係は認められないとした。

判決によると、女性は07年6月の新入社員歓迎会で上司に尻を触られた。

原告は女性社員がその後、会社を辞めさせてもらえず精神的に追い詰められて08年1月に自殺したとしていたが、判決は認めなかった。

賢島宝生苑側は口頭弁論で、上司が触ったことは認めたが「性的な意味はなく、女性からの相談もなかった」などと主張していた。(共同通信)


■合理的理由ないと解雇無効/元助教へ賃金支払い命令

東北大大学院歯学研究科のグループが発表した論文の不正疑惑問題で、実験結果を捏造したとして懲戒解雇された同研究科元助教の女性が地位保全と未払い賃金 の支払いを求めた仮処分申請で、仙台地裁は17日までに、解雇を無効とし、賃金の一部支払いを命じる決定をした。決定は14日付。

本多哲哉裁判官は決定理由で、大学側は学会から元助教の女性の実験で捏造が疑われると指摘を受けたが、予備調査や再実験をしないなど懲戒処分の手続きに問題があったと指摘。「解雇は客観的に合理的な理由がなく無効だ」としている。

東北大などによると、元助教の女性は2001〜07年に発表された口内の免疫に関する論文11本で、一つの実験で得たデータや画像を加工し、別の実験結果として流用していたなどとして、昨年12月に同大を懲戒解雇された。

元助教の女性は「正当な判断をしていただき、ほっとしている」と話し、代理人の弁護士は本訴について「なるべく早くしたい」としている。

東北大は「主張が認められず遺憾だ。内容を精査して今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。(共同通信)


■不当労働行為と認定/ネグロス電工不当労働行為再審査事件で中労委

会社内で唯一の組合員Aに対し、極めて低い定年退職後の再雇用労働条件を提示し、その条件を定年退職の前日になって初めて示した事件について、唯一の組合 員Aを嫌悪した不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した支配介入であるとして、中央労働委員会は15日、不当労働行為と認定し、不利益取扱い がなければ支払われたであろう賃金相当額と既支払額との差額の支払などを命じた。


■TOTO労災で賠償命令/偽装請負で勤務中事故

TOTO(北九州市)の滋賀工場で偽装請負の状態で勤務中に労災事故で死亡した男性の遺族がTOTOなどに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁(石原稚也裁判長)は22日、計約6,000万円の支払いを命じた。

判決などによると、男性は2007年5月、停止した製造ラインを再始動させようとした際、動きだした機械に挟まれ死亡した。

原告側は、事実上TOTOの指揮命令下で作業に従事していたとして「フェンス設置など安全管理を怠った」とTOTOの過失を主張。これに対しTOTO側は指揮監督は請負会社がしていた、とした上で「過失は本人にある」と反論していた。

この事故では東近江労働基準監督署が07年9月、労働安全衛生法違反容疑でTOTOなどを書類送検。甲賀簡裁は08年7月、罰金50万円の略式命令を出した。
(共同通信)


■「いじめでうつ」認定/労基署の処分取り消し

富士通に勤めていた京都市の女性が、うつ状態と診断され休職したのは社内のいじめが原因として、労災保険法に基づく療養費を支給しなかった京都下労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決が23日、大阪地裁であり、中村哲裁判長は因果関係を認め、処分を取り消した。

中村裁判長はいじめを「長期におよぶ陰湿なもので常軌を逸している」と指摘し、「意を決して相談した上司は何の防止策も取らず、女性が失望感を深めたとうかがわれる」と因果関係を認定。労基署の処分を「不適法」とした。

判決によると、女性は同社京都支社でホームページ作成などをしていた2000〜02年、同僚らから顔を殴るまねをされたり、いじめてやると言われたりして精神的に不安定になり、医師が「不安障害、うつ状態」と診断。05年まで休職した後、解雇になった。

同労基署は06年、女性の療養補償請求を「業務が原因ではない」として退けていた。

富士通は「判決内容を把握していないのでコメントできない」としている。


■添乗員みなし労働は妥当/HTSに逆の司法判断

阪急トラベルサポート(HTS、大阪市)から「事業場外みなし労働制」の適用を理由に残業代を支給されなかったとして、派遣添乗員の女性が計約44万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は2日、適用を妥当と判断した上で約24万円の支払いを命じた。

事業場外みなし労働制は労働基準法で定められ、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされる。HTSをめぐっては5月に、別の添乗員の訴訟で東京地裁の別の裁判官が適用を否定する判決を出しており、判断が分かれる形となった。

田中一隆裁判官は「原告は単独で業務を行い、旅先に到着後も会社に必ず連絡して指示を受けたりはしていない。日程も大まかで変更などもあった」と指摘、労働時間の算定が困難な場合に当たると判断した。

その上で1日のみなし労働時間をHTS側の主張と同じく11時間と認定。労働基準法に基づき8時間を上回る3時間分と休日労働については時間外の割増賃金計約12万円、さらに同額の付加金も併せて支払うよう命じた。

判決によると、女性は2007年12月〜08年1月にかけ、ヨーロッパへの二つのツアーに参加した。(共同通信)


■元社員の発明対価200万/キヤノンに支払い命令

キヤノンのレーザープリンターなどのビーム精度を高め、画質を向上させる特許技術を発明したとして、元社員が対価1億円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は8日、同社に228万円の支払いを命じた。

大鷹一郎裁判長は、社が1680〜90年代にかけて特許で得た利益のうち、元社員の貢献度を1%余りと判断。社が既に支払っていた約55万円の対価を差し引いて認容額を算出した。

この元社員がレーザープリンターに関する別の発明について起こした別の訴訟では、昨年2月の二審知財高裁判決がキヤノンに約7,000万円の支払いを命じ、最高裁で争われている。(共同通信)


■24歳過労死 賠償命令…「大庄」と役員らに7860万円

 全国チェーンの飲食店「日本海庄や」石山駅店(大津市)で勤務していた吹上元康さん(当時24歳)が急死したのは過重な労働を強いられたことが原因とし て、京都市に住む両親が、経営会社「大庄」(東京)と平辰(たいらたつ)社長ら役員4人に慰謝料など約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、京都 地裁であった。大島真一裁判長は「吹上さんの生命、健康を損なわないよう配慮すべき義務を怠った」として、同社と4人に対し、約7860万円の支払いを命 じた。

 原告側の弁護士によると、過労死を巡る訴訟で、役員の賠償責任を認めた司法判断は珍しいという。

 判決によると、吹上さんは2007年4月に入社後、石山駅店に配属されたが、同8月11日未明、自宅で就寝中に急性心不全で死亡。死亡まで4か月間の時間外労働は月平均100時間以上で、過労死の認定基準(月80時間超)を上回り、08年12月に労災認定された。

 大島裁判長は、同社が当時、時間外労働が月80時間に満たない場合は基本給から不足分を控除すると規定していたと指摘。「長時間労働を前提としており、こうした勤務体制を維持したことは、役員にも重大な過失がある」と述べた。

 閉廷後に記者会見した父親の了(さとる)さん(61)は「子どもを返してほしいというのが本音。裁判などで公になっていない過労死の問題を抱えている 方々に励みになる内容だ」と判決を評価。母の隆子さん(55)は「従業員が過労死した企業には公表義務を課すなど、社会全体で厳しい目を向けて監視してい く必要があると感じた」と語った。

 大庄広報室は「まだ判決が届いておらずコメントできないが、今後は内容を十分に検討して対応する」としている。

(2010年5月25日 読売新聞)


■NEC部長の過労自殺認定/地裁、労基署処分取り消す

2000年に自殺したNEC部長の妻が、労災と認めず遺族補償年金を不支給とした三田労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は11日、「自殺は過労によるうつ病が原因」として処分を取り消した。

青野洋士裁判長は判決理由で「月100時間を超える時間外労働に加え、達成困難なノルマ、中心的な役割の部下の異動などで強い心理的負荷があった」と指摘。うつ病の発症や自殺が、業務によるものと認めた。

判決によると、ソフトウエア開発を担当していた部長は、長時間労働が続いて00年1月ごろにうつ病を発症、同2月に「万策尽きました。会社へ責任をとります」と書き残して自宅近くのビルから飛び降り自殺した。妻は労災遺族補償年金を請求したが、03年に退けられていた。

妻の代理人は「上場企業の部長という裁量性の高い地位の労働者について、恒常的な長時間労働の心理的負荷を正面から認めた判決で意義深い」としている。

三田労働基準監督署は「判決内容を検討し、関係機関とも協議した上で今後の対応を判断したい」とコメントした。(共同通信)


■不況で解雇の4人復職へ/山梨の会社と和解

不況による事業縮小を理由にした解雇は不当として、半導体装置製造会社メイコー(山梨県甲斐市)と関連会社で働いていた社員計5人が、解雇無効などを求め た訴訟は16日、会社側が既に定年となった1人を除く4人の復職を認めることで、甲府地裁(太田武聖裁判長)で和解が成立した。

和解条項によると、会社は5人に対し、解雇した2008年12月以降の賃金を支払い、定年の1人は定年退職であることを認める。

原告側の関本立美弁護士は「裁判で解雇無効を争った人が復職する例は全国でも少ない」と説明している。

5人は「会社は解雇を回避するための努力を一切していない」と主張。仮処分を申請し、地裁は09年5月「努力が十分だったとは言えない」として、会社に賃金計約400万円の支払いを命じる決定をしていた。

メイコーは「和解案に準じ、適宜対応する」としている。(共同通信)


【参考】整理解雇の4要件とは?
 事業縮小等など経営側の事情によって労働者を解雇することを「整理解雇」といいます。どんな場合でも整理解雇が認められるわけではなく、客観的に真にやむをえない事業がある場合に限り許されるものです。

 ではどういう場合に整理解雇が認められるかといいますと、これまでに数々の裁判例が出されており、それによれば少なくとも4つの要件が満たされなければ 整理解雇は認められず、4要件を欠く解雇は解雇権の濫用となって無効とするのが一般的な考え方です。

この4つの要件とは
@整理解雇の必要性が本当にあること(会社の維持・存続を図るためには人員整理が必要であること)
A整理解雇を避けるための努力を会社が尽くしていること(解雇に先立ち、退職者の募集、出向その他余剰労働力吸収のために相当の努力が尽くされたこと)
B対象者の選定に合理性があること
C労働者側との間で十分な協議が尽くされていること(解雇の必要性・規模・方法・解雇基準等について労働者側の納得を得るために相当の努力がなされていること)
というものです。


■ゴルフ練習場の解雇無効/「名ばかり取締役」も認定

名ばかりの取締役にされた上、労働組合活動を理由に解雇されたとして、佐賀県武雄市の男性がゴルフ練習場運営会社「佐賀ゴルフガーデン」(佐賀市)などに 労働契約の存続確認などを求めた訴訟の判決で、佐賀地裁は26日、未払い賃金575万円と慰謝料30万円の支払いなどを命じた。

判決理由で野尻純夫裁判長は「取締役とはいえ、単なる従業員とほとんど異ならない立場にあった」と指摘。「解雇は労組に加入して活動したことを嫌悪して意図的に行われた」と述べ、解雇は無効と結論付けた。

判決によると、男性は2007年5月、佐賀ゴルフガーデンと雇用契約を結び、取締役に選任された。個人加入した労組を通じて08年3月に取締役辞任を申し出ると、会社側は岩瀬さんを解雇した。(共同通信)


■NTT西の配転「違法」/高松高裁が賠償命令

NTT西日本の社員3人がリストラ計画で遠隔地などに2回にわたり配置転換されたのは違法として、配転命令の無効と慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で、高松高裁は25日、社員それぞれに200万円ずつを支払うようNTT西に命じた。一審松山地裁判決は社員側の全面敗訴。

判決理由で杉本正樹裁判長は「2回目の配転命令は労働者の健康状態や家庭状況への配慮が十分といえず、不当な差別的意図があったとみられる」と指摘。「配転命令権を乱用した違法な命令だった」と認めた。

一審の係争中に2回目の配転命令が出されたため、社員側は控訴審で、この命令についても無効とするよう新たに主張を追加した。

判決によると、NTT西は2001年に発表した経営計画に基づき、51歳以上の一部社員に、賃金カットを伴う子会社での再雇用か全国転勤がある残留かを選 択させた。社員3人はこれを拒否し、02年に愛媛県から名古屋などに配転させられ、06年にも大阪などへの配転命令を受けた。

NTT西は「一部主張が認められず遺憾。判決内容を精査した上で今後の対応を判断したい」とコメントした。(共同通信)


■過労自殺九電工に賠償命令/「長時間労働放置」と批判

長時間労働で2004年にうつ病を発症し自殺したとして、九電工(福岡市南区)元社員の妻と両親が同社に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は2日、計約9,900万円の支払いを命じた。

判決理由で岩木宰裁判長は、元社員はうつ病発症までの1年間、毎月100時間超の時間外労働をしており、04年に入ってからは平均150時間を超え「極めて大きな負荷だった」と指摘。元社員が労働時間を過少申告していることを認識しながら指導しなかった点を「状況を是正せずに放置した」と批判した。

判決によると、元社員は空調衛生施設工事の現場監督で、顧客企業への対応と同時に施工図も作成。04年7月にうつ病となり、9月に自宅マンションから飛び降り自殺した。

福岡中央労働基準監督署は07年5月に労災と認定したが、九電工は一貫して業務との因果関係を否定している。同社は「控訴の方向で検討を進めたい」としている。
(共同通信)


■旧GW子会社に支払い命令/解雇無効と仮処分決定

人材派遣大手のラディアホールディングス(旧グッドウィル・グループ)の子会社「テクノプロ・エンジニアリング」(東京)を解雇された神奈川県横須賀市の 男性が、同社に賃金支払いなどを求めた仮処分申請で、横浜地裁(立野みすず裁判官)は7日、解雇は無効として、賃金分として月約30万円の支払いを命じる 決定をした。

ラディアは業績が悪化し、今年4月にグループ全体で正社員4,500人を解雇。地裁は決定理由で「解雇を避ける努力を尽くしたとは認められず、人員削減の必要性がどの程度あったかも明らかでない」と指摘した。

決定によると、男性は1996年から同社社員としてメーカー工場に派遣されて働き、今年4月末に解雇された。同社は決定についてコメントしていない。(共同通信)


■17人のリストラ配転認めず/最高裁、NTT西側が敗訴

NTT西日本の現・元社員計21人が、リストラによる遠隔地への配転は不当として慰謝料などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は14日までに、うち17人についてNTT西側の上告を退ける決定をした。計900万円の支払いを命じた二審判決が確定した。

二審で敗訴した残る4人についても、上告を退ける決定をした。決定はいずれも8日付。

21人は50〜60代の男性。

今年1月の二審大阪高裁判決は、17人の配転について「配転先での業務内容は単純かつ機械的なものなどで必要性が乏しい。長時間の新幹線通勤や単身赴任をさせてまで行う必要性はなかった」と判断、1人当たり慰謝料120万〜40万円の支払いを命じた。4人の配転は業務上の必要性があったと認定した。

一審大阪地裁判決は、今回勝訴した17人のうち3人だけを対象に、計200万円を支払うよう命じていた。

一、二審判決によると、NTT西は2001年、51歳以上の社員に賃金カットを伴う子会社での再雇用か、全国異動がある残留かを選択させる合理化を発表。 少数派組合の21人は選択しなかったため残留扱いとなり02年、中四国勤務の場合は大阪に、大阪勤務の場合は名古屋などに配転させられた。(共同通信)


■日通社員側が逆転敗訴/高裁「賃金保障約束ない」

関連会社から親会社に移籍する際、口頭で従来の賃金を保障すると約束したのに減額されたとして社員ら4人が日本通運(東京)に差額の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、日通に計約2,400万円の支払いを命じた一審大阪地裁判決を取り消し、社員側の請求を棄却した。

判決理由で岩田好二裁判長は「賃金のように最重要の労働条件について実際と異なる説明をした場合、入社後の労使関係に重大な悪影響を及ぼすおそれもあるから、細心の注意を払ったと推測される」と指摘。「同額保障を約束したとは認められない」と結論づけた。

判決によると、4人は大阪府内の日通関連会社で宅配便の集配業務に従事。組織改編により2000年4月に日通に移籍した。(共同通信)


■パナソニック子会社の雇い止め適法/偽装請負訴訟で逆転敗訴

松下電器産業(現パナソニック)の子会社で働いていた男性が「違法な偽装請負状態にある」との内部告発後に雇い止めされたのは不当として、雇用継続などを 求めた訴訟の上告審判決で最高裁第2小法廷は18日、請求を認めた二審大阪高裁判決を破棄、訴えを退けた。原告の逆転敗訴が確定した。

中川了滋裁判長は判決理由で「松下側は吉岡さんの採用や給与額の決定に関与しておらず、暗黙の雇用契約が成立していたとは評価できない」と指摘した。

判決は、派遣先企業の指示で働いているのに業務請負を装う労働形態が、違法な偽装請負に当たることを最高裁として初めて認定。吉岡さんも同じ状態と見なしたが、松下側との直接雇用関係を認めず、雇い止めは適法との結論を導いた。

一方で「内部告発への報復から、必要性の乏しい作業をさせていた」などとする高裁判断を追認し、90万円の慰謝料支払いを認めた。

大阪地裁判決は、雇用関係継続を認めなかったが、差別的待遇があったとして慰謝料600万円の請求に対し45万円の支払いを命令。高裁判決は「脱法的契約 で違法性が強い」とした上で、松下側従業員の直接指示を受けており黙示の労働契約があったと認定。慰謝料を90万円に増額した。

判決によると、吉岡さんは松下プラズマディスプレイ(現パナソニックプラズマディスプレイ)茨木工場(大阪府茨木市)で、業務請負会社の社員として04年 1月から勤務。05年に「実際には松下側従業員の指示で働いており偽装請負だ」と大阪労働局に申告、労働局が是正指導した。

その後、吉岡さんは期限付きで雇用されたが、ほかの従業員と隔離された部屋で必要性の低い作業を命じられ、06年1月には実質的に解雇となる雇い止めとされた。
(共同通信)


■自宅作業も業務と労災認定/心臓疾患死のマック店員

2000年11月に心臓疾患で死亡した日本マクドナルド(東京)の男性社員の遺族が、労災と認めなかった処分は不当として国に取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、「発症は業務が原因」として、請求通り処分を取り消した。

渡辺弘裁判長は判決理由で、男性の時間外労働が発症前の1カ月間で少なくとも約79時間あったとしたほか、自宅でのパソコン作業なども業務に当たると判断。「強い業務の負荷に長期間さらされ、疲労の蓄積や過労が心臓の異常を引き起こした可能性が極めて高い」と指摘した。

判決によると、男性は大学卒業後の1999年4月に入社。2000年11月、川崎市内の店舗に出勤した直後に倒れ、病院に運ばれたが急性心機能不全で死亡 した。遺族は川崎南労働基準監督署などに労災を申請したが「業務起因性が明らかではない」と退けられていた。(共同通信)


■医大院生「過労で事故死」/鳥取地裁が賠償命令

鳥取大医学部の大学院生で医師だった男性が付属病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは、睡眠不足や過労を生じさせた大学側の責任だとして、両親が鳥取大に損害賠償を求めた訴訟の判決で鳥取地裁は16日、約2,000万円の支払いを命じた。

朝日貴浩裁判長は判決理由で「大学院生の業務内容は勤務医と大きく変わらず、業務の性質は精神的負荷が高いものだ」と認定。「大学側には(過酷な勤務で)事故発生が十分予測可能だった」と【安全配慮義務違反】を認めた。

研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学に安全配慮義務があることを認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。

訴状などによると、男性は同病院の外科で「演習」として恒常的な長時間勤務を強いられ、2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中にトラックと衝突、死亡した。

大学病院などで院生や研修医などの若手医師は劣悪な条件で長時間勤務を強いられることが多いとされ、文部科学省は昨年、医療業務に従事する院生と雇用契約を結ぶよう、各大学に通知した。

研修医については05年の最高裁判決が、労働基準法上の「労働者」に当たるとの初判断を示したが、原告側代理人によると、院生の労働者性を認めた判例はないという。(共同通信)



■パワハラで慰謝料命じる/鳥取地裁米子支部

上司のパワハラでうつ病になり退職に追い込まれたとして、鳥取県米子市の50代女性が、勤務先だった富国生命保険(東京)と元鳥取支社長らに5,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鳥取地裁米子支部は21日、慰謝料など330万円の支払いを命じた。

村田龍平裁判官は判決理由で「女性のうつ病は上司の配慮を欠いた行為がきっかけで発症した」と認定したが、退職については因果関係を認めなかった。

判決によると、上司の元鳥取支社長や元米子営業所長は2003年、ほかの社員がいる前で仕事上のことで女性を問いただすなどした。女性は同年7月、ストレス性うつ病と診断され、休職を経て、05年に自動退職となった。

原告の代理人弁護士は「直接の加害者だけでなく、職場環境の配慮義務違反を認めた判決だ」と評価。富国生命保険広報室は「判決文が届いておらず、コメントしようがない」としている。(共同通信)


■労災認め不支給取り消す/NTT職員死亡で札幌地裁

NTT東日本に勤めていた北海道旭川市の男性が、急性心筋虚血で死亡したのは配置転換に伴う長期研修の過労が原因だとして、妻が遺族補償給付などを不支給とした旭川労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、札幌地裁は12日、労災を認め処分を取り消した。

橋詰均裁判長は判決理由で、心臓に持病があった男性にとって研修への参加や異動への不安が肉体的、精神的ストレスとなり、持病を悪化させたと判断。死亡と業務の因果関係を認めた。

判決によると、男性は1993年に受けた健康診断がきっかけで心臓の持病が発覚、手術を受けた。宿泊を伴う出張はできないとされたが、リストラ計画 による配置転換を前提に2002年4月から約2カ月間、札幌市や東京都内で宿泊研修を受けることになり、研修期間中の6月、帰省中に死亡した。

判決を受け、旭川労基署は「裁判所の理解が得られず残念。今後の対応は上部機関などと協議して判断したい」とコメントした。

男性の死亡をめぐっては、NTT東日本が遺族に約1,660万円の損害賠償を支払う判決が9月に確定している。(共同通信)


■NTT東、定年制は適法/「別会社での再雇用確保」

NTT東日本の60歳定年制は、定年後の雇用確保を義務付けた改正高年齢者雇用安定法に反するとして、昨年3月に定年を迎えた男女10人が、社員としての地位確認と退職後の給料支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、請求を棄却した。

NTT東は2002年、再雇用制度を廃止。51歳以上の従業員に対し (1)グループ会社に移り、給料減額の代わりに60歳定年後も再雇用 (2)会社に残り、60歳で定年退職―のいずれかを選択させる制度に改めている。

渡辺弘裁判長は「法は企業による雇用確保について多様で柔軟な措置を講じることを容認している」と指摘。その上で「従業員に対し、60歳で退職する か、資本的にも密接なグループ会社に移るかを選ばせるNTT東の制度は、高齢者の安定した雇用を確保するものと評価できる」とした。

原告の10人は60歳を迎えるまで選択の機会が3回あったが、いずれも拒否。「選ばない場合は60歳での定年を選んだとみなす」との就業規則に基づき、昨年3月で定年退職となった。

NTT東は「当社の主張を理解していただいた判決」としている。

NTT西日本についても、継続雇用に関する同様の訴訟が大阪地裁などで起こされたが、元社員側の敗訴が続いている。(共同通信)


■元横綱のちゃんこ店、未払い賃金支払い命令 
9月17日15時22分配信 読売新聞
 元横綱がプロデュースする創作和食料理店などの元従業員ら6人が、残業代が支払われなかったとして、関西で同店を運営していた飲食店経営会社「ディバイ スリレーションズ」(大阪府吹田市)に未払い分など計約3400万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、京都地裁であった。

 辻本利雄裁判長は「時間外労働として支払うべき賃金が認められる」として計約2600万円の支払いを命じた。

 判決によると、6人は2005年2月〜07年10月、同社に採用され、京都市下京区と大阪市北区などの店で勤務していた際、ほぼ毎日、1日8時間の所定労働時間を超えて長時間の残業をしていたが、1人あたり88万〜425万円の残業代が支払われなかった。

 同社は「支払った賃金には残業代も含まれていた」と主張したが、辻本裁判長は「実労働時間を少なく算定し、就業月報を改ざんするなど悪質な行為もみられる」と指摘、未払い賃金に付加金計約1100万円を加えて支払いを命じた。


■違法派遣で自殺と賠償命令/ニコンなど2社に東京高裁

光学機器大手ニコンの工場に派遣されていた男性が自殺したのは、劣悪な勤務環境によるうつ病が原因だとして、遺族が、同社 と名古屋市の業務請負会社に計約1億4,000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、両社に計約7,058万円の支払いを命じ た。

両社に計約2,488万円の支払いを命じた05年3月の一審東京地裁判決を変更。「製造業への派遣を禁止していた当時の労働者派遣法に反していた」と言及した。

弁護団によると、派遣労働者の過労自殺で、派遣先と派遣元双方の賠償責任を初めて認めたとみられる一審判決を追認した。

原告は1999年3月に自殺した男性の母。

都築弘裁判長は、上段さんの勤務実態に触れ「昼夜交代制勤務や寮での一人暮らしなど、生活の大部分はニコン側に抱え込まれていた」と指摘。

その上で「健康状態の把握は近親者より、使用者の方が容易。ニコン側が、自殺の原因をうつ病でないと証明しない限り、うつ病が原因と推認するのが公平だ」として、立証責任をニコン側に求めた。

判決によると、勇士さんは派遣先となった工場(埼玉県)の窓や休憩スペースのない部屋で製品検査業務を担当。不規則で長時間の勤務が続き、99年に退職を申し入れたが認められず、無断欠勤となり3月、寮で自殺しているのが見つかった。(共同通信)


■過労自殺を逆転認定/佐川急便の元派遣社員

佐川急便で勤務していた派遣社員の男性の自殺は過労が原因として、母親が請求した労災申請について、国の労働保険審査会は3日までに過労自殺と認定。労災を認めなかった仙台労働基準監督署の決定を取り消す裁決をした。

母親の代理人の弁護士によると、同審査会での逆転認定は珍しい。

裁決は、男性が午後7時〜翌日午前4時の勤務を5年以上続けていたとし「業務による心理的負荷は精神障害を発病させる危険のある強度だった」と指摘。「うつ病に伴う異常心理下で自殺した」と結論づけた。

裁決などによると、男性は佐川急便仙台店に配属され、構内作業員として勤務。遅くとも2006年2月末までにうつ病を発症し、同年3月に自殺した。自殺前の約1年間は月平均で100時間以上時間外労働をしていた。

母親は「やっと分かってもらえた。機械のように働かせて反省もしない会社に怒りを覚える」とコメントを出した。

母親は派遣会社の羽田タートルサービス(東京)と佐川急便に計約9,300万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こし、係争中。(共同通信)


■連続深夜勤でうつ病認定/郵便事業会社に賠償命令 

うつ病を発症した郵便事業会社の社員2人が、健康上のリスクが高い連続深夜勤は生存権を定めた憲法などに違反するとして、勤務に就く義務がないとの確認な どを求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。鈴木拓児裁判官は2人の発症と連続深夜勤との因果関係を認め、会社側に安全配慮義務違反があったとして計約130万円の損害賠償を命じた。

しかし、連続深夜勤を定めた就業規則について「郵便事業会社側と2人が所属する組合との間の協約で合意され、ほかの民間企業の状況に照らしても時間や実施回数などが過重とはいえない」とし、憲法などには違反しないとした。

判決によると、郵便事業会社の前身の日本郵政公社は2004年2月、深夜から早朝にわたる深夜勤について、勤務を終えた日の夜から再び出勤できるように就業規則を変更した。

原告側弁護団の渡辺千古事務局長は「一部とはいえ、連続深夜勤と精神疾患の因果関係を認めて賠償を命じた点は画期的だ」としている。

一方、別の組合に所属する社員ら約40人が勤務体系の違法性の確認を求めた同様の訴訟の判決も東京地裁であったが、村越啓悦裁判官は全面的に訴えを退けた。(共同通信)


■昭和シェルが「差別処遇」/東京地裁、5,000万支払い命じる

昭和シェル石油(東京)の女性社員12人が、性差別による賃金格差があったとして、同社に賃金の差額など計約5億 5,000万円の支払いなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、「違法な男女差別による処遇を受けていた」として慰謝料など計約5,000万円の支 払いを命じた。

渡辺弘裁判長は、昭和シェル石油では少なくとも1993年前後に昇格や賃金に性差別があったと指摘。能力や成果を重視して2000年に導入した新人事制度でも「かつての違法な男女差別の影響を残していた」と認定した。

一方で、原告が求めていた差額賃金の支払いは一部で時効が成立しているか、成立していなくても新制度下で個別の算定が難しいのを理由に退け、人事の昇格も認めなかった。

判決によると、12人は1966〜74年に入社。うち2人は提訴後に定年退職(1人は再雇用)、別の1人は在職中に死去した。

判決後に記者会見した原告の柚木康子さん(61)は「差別があったことを認めながら、現実に残る賃金格差を解消しないのはおかしい」と話し、控訴する意向を示した。

昭和シェル石油は「判決の詳細を確認した上で、必要な対応を取る」とコメントした。(共同通信)


■洋服の青山と元店長が和解/名ばかり管理職訴訟

権限や裁量がないのに残業代などが支払われない「名ばかり管理職」にされたなどとして、福島県内の紳士服店「洋服の青山」で店長だった30代の男性 社員が、運営する青山商事(広島県福山市)に残業代など約800万円の支払いを求めた訴訟は8日、同社が和解金450万円を支払うことで、福島地裁(松谷 佳樹裁判官)で和解が成立した。

会社側が昨年、店長などを管理監督者から除外したため、訴訟では店長が管理監督者に当たるかどうかは争われず、店長の役職手当に残業代などの割増賃金がどれだけ含まれているのかなどが争点となった。

男性側は役職手当などに含まれるとされる割増賃金分と職務手当分の区別が明確でないなどと主張。会社側は役職手当などに割増賃金分が含まれており、そのほかの未払い分も既に支払ったとしていた。

支援していた労働組合は「実質的勝訴」とし、原告の男性は「同じ境遇で闘っているかたがたへの後押しになれば」と話した。

青山商事広報室は「コメントは差し控える」としている。(共同通信)


■7,500万円支払いで和解/農協の過労自殺訴訟

北海道音更町の音更町農業協同組合に勤務していた男性が過労でうつ病になり自殺したのは、農協が安全配慮義務を怠ったた めとして、遺族が約1億4,000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は10日、農協が遺族側に謝罪し、和解金7,500万円を支払うことで札幌高裁(村 野裕二裁判官)で和解が成立した。

一審釧路地裁帯広支部判決によると、男性は青果課に勤務していたが、上司が病気で休職したことなどから担当業務が増大。2005年4月、係長昇進後も上司から叱責を受けるなどしてうつ病の症状を訴え、同5月に農協の倉庫で自殺した。

今年2月の一審判決は農協に約1億円の支払いを命じ、農協が控訴。札幌高裁は6月、和解を勧告していた。

和解成立を受け、男性の妻(36)は「私たち(家族)から夫、父親を奪ったことを決して忘れず、二度とこのようなことを起こさないでほしい」とコメ ント。音更町農協も「安全配慮義務違反はないとの判断のもとに応訴してきたが、早期円満解決を優先させ和解することにした」とのコメントを出した。(共同 通信)

■「いじめでうつ病」認定/東京地裁、自殺の男性に

首都圏で飲食店などを展開する「小田急レストランシステム」(東京)の社員が自殺したのは職場のいじめなどでうつ病を発症したのが原因だとして、遺 族が労災と認めなかった行政処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、東京地裁は20日、うつ病発症や自殺が業務と因果関係があると判断、処分を取り消し た。

この社員は1998年4月に自殺した男性=当時(51)。白石哲裁判長は「部下から虚偽のビラなどをまかれ、内容をめぐって取引先とのトラブルを抱えた上、会社からも詰問を受けるなどした」と指摘した。

判決によると、男性は本社の給食事業料理長だった97年ごろから、職種を契約社員からパートに変更された部下らの嫌がらせを受けるようになった。男性は98年4月、それまで27年間勤めた同じ職場から配置転換させられ、直後に自殺した。

遺族側の川人博弁護士は「部下によるいじめを自殺の原因と認定したのは評価できる。職場にはさまざまな形のハラスメントがあり、使用者の労務管理にも警告を与える内容だ」と話している。(共同通信)5月20日

■契約店長に正社員並み賠償/すかいらーく過労死で合意

外食大手「すかいらーく」の契約店長だった埼玉県加須市の前沢隆之さん=当時(32)=が過労死した問題をめぐり、前沢さんの遺族らは13日、会社側が責任を全面的に認めて正社員並みの賠償金を支払うことで合意した、と発表した。

遺族らが明らかにした合意書によると、同社は前沢さんが正社員だったと仮定した場合の平均年収を基に算出した損害賠償金を支払うことを約束。また合 意書には、社内55人の契約店長に未払い残業代1,746万円を支払うことや、労務管理改善に努力することも盛り込まれている。

母親の笑美子さん(60)は「社の幹部が労働時間をきちんと把握するなど再発防止を徹底してほしい」と訴えた。

前沢さんは1991年にアルバイトで入社。2006年、埼玉県栗橋町の店舗で契約店長になったころから長時間労働を強いられ、07年10月に脳出血で死亡。春日部労働基準監督署が昨年6月、過労死と認定した。(共同通信)5月12日

■内々定取り消し「違法」/会社に解決金支払い命令

採用の内々定を内定式の直前に取り消したのは違法だとして、20代の男性が福岡市内の不動産会社に105万円の支払いを求めた労働審判で、福岡地裁は13日、同社に解決金75万円の支払いを命じた。

男性の代理人を務めた光永享央弁護士によると、審判の中で同地裁は取り消しの違法性を認定。会社側は「未曾有の不況でやむを得なかった」と主張していたが、地裁は「正当化される理由はない」と退けたという。

光永弁護士は「内々定取り消しで金銭支払いを命じる司法判断は初めてではないか」とし「入社の期待を持たせておきながら直前に取り消した今回のようなケースでは、責任が生じると明快に示した。画期的判断だ」と評価している。

申立書によると、大学4年生だった男性は昨年7月、不動産会社から内々定通知を受けたが、10月2日の内定式を控えた9月30日、「経営環境の悪化」などを理由に内々定を取り消された。申し立ての後に、県外の企業に就職が決まったという。

会社側は「現段階ではコメントできない」としている。(共同通信)


■契約社員「雇い止め無効」/京都新聞子会社に

京都新聞社の子会社「京都新聞COM」の女性契約社員2人が、「4−7年勤務していたのに雇い止めをするのは不当」として地位保全などを求めた仮処分申請で、京都地裁は20日、「雇い止めは無効」として同社に賃金仮払いを命じる決定をした。

仮処分決定は「2人には雇用継続への正当な期待があった」と認定。雇い止めは「客観的合理的理由を欠き、社会的相当性がない」とした。地位保全については「必要性がない」と却下した。

決定などによると、契約社員の一人は2001年から、もう一人は04年から京都新聞社の別の子会社で雇用され、2人とも06年にCOM社に移籍。イベントの企画や広告制作を担当していたが、昨年6月、雇い止めとなった。

COM社は「会社側の主張が認められず残念」としている。(共同通信)


■「解雇は無効」と甲府地裁/父子家庭社員の早退に理解

静岡県富士市の人材派遣会社を解雇された元営業担当の男性(34)=甲府市=が、社員であることの地位確認や給与の支払いなどを求めていた訴訟の判決で、甲府地裁は17日、解雇を無効とし、約580万円の支払いなどを命じた。

判決理由で太田武聖裁判長は解雇理由の一つに挙げられた「約束以外の早退が多い」について「5歳の子どもと暮らす父子家庭であり、子どもの体調不良などで早退が多くなるのはやむを得ない」とし「解雇は合理的理由を欠き、権利の乱用として無効」と述べた。

ほかの解雇理由となった「新規の営業活動がまったくない」なども「事実がないか、事実があったとしても解雇は重すぎる」と指摘した。

判決によると、男性は2005年1月から雇用され、山梨営業所(同県甲斐市)に勤務していたが、07年8月、14項目の理由を挙げられ解雇。男性は仮処分を申し立て、甲府地裁は08年1月、給与の仮払いなどを会社に命じていた。

男性は判決後の取材に「こんなことが横行していては、派遣会社の将来もない」と話した。会社は「結果を聞いていないのでコメントできない」としている。(共同通信)

■「名ばかり管理職」認定/SE3人が勝訴

ソフトウエア開発会社「東和システム」(東京)社員の男性システムエンジニア3人が、権限のない「名ばかり管理職」扱いされ残業代を受け取れなかっ たとして、未払い残業代の一部など約1億円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は9日、約4,500万円の支払いを同社に命じた。

村越啓悦裁判官は、残業代の支払い義務がない労働基準法の「管理監督者」に当たるかどうかの判断基準として(1)部門全体の統括的な立場(2)部下に対する労務管理上の決定権(3)管理職手当などの支給(4)自分の出退勤の決定権−との要件を提示。

その上で「原告はプロジェクトのリーダーをしたことはあるが、メンバーやスケジュールの決定もできないなど要件に該当しない。経営者と一体的立場の管理監督者とはいえない」と指摘した。

判決によると、原告3人は1990〜93年、課長代理に順次任命され管理職扱いされた。昨年11月、管理監督者ではない課長補佐となった。(共同通信)


■「名ばかり管理職」で和解/マックが1千万円支払う

日本マクドナルドの直営店店長が、権限を持たない「名ばかり管理職」だとして残業代の支払いなどを求めた訴訟は18日、同社が和解金約1,000万円を支払うことなどを条件に、東京高裁(鈴木健太裁判長)で和解が成立した。

原告側によると、和解条項は、同社が原告勝訴の1審判決を事実上受け入れた内容。(1)原告は法律上の管理職(管理監督者)に該当しない(2)今回の訴訟に関して降格・配転・減給の処分をしない−なども明記された。

原告は埼玉県熊谷市の店長高野広志さん(47)で「大きな前進」と評価。代理人の棗一郎弁護士は「会社が名ばかり管理職だったと認めたことは意義がある。降格などの処分をしないと認めさせたのは異例で、和解でなければ得られない」と話している。

同様の問題を抱えるほかの外食産業などでも「名ばかり管理職」のサービス残業解消に向けた対応を迫られそうだ。

棗弁護士によると、和解金の約1,000万円には、1審判決が支払いを命じた残業代など約755万円に加え、その後の残業代も含まれるという。

訴訟では、高野さんが、経営者と一体的で残業代の支払い義務がない労働基準法の「管理監督者」に当たるかどうかが争われた。昨年1月の東京地裁判決は「職務や権限は店舗内の事項に限られ、経営者と一体的な重要なものではない」として、管理職には当たらないと判断した。

日本マクドナルドは昨年8月から、約1,700人とされる直営店店長らを対象に、職務給を廃止して成果に応じた報酬とする新制度を始めようとしたが、導入をいったん延期。残業代の支払いを先行して実施している。(共同通信)


■横浜銀、残業代未払い/千百人分、7,900万円


横浜銀行が昨年7〜10月の4カ月間、行員約1,100人分の残業代計約7,900万円を支払っていなかったことが24 日、分かった。同行は今月に入り全額を支払った。横浜銀行によると、横浜北労働基準監督署が昨年9月、神奈川県内の2支店を立ち入り調査。行員が申告した 勤務時間と、パソコンの操作記録が食い違っており、勤務時間の過少申告が発覚した。(共同通信)


■うつ病自殺、仕事が原因/労基署の決定取り消す判決

うつ病で35歳で自殺した徳島市の会社員男性の遺族が、仕事が自殺の原因だと認めるよう求めた訴訟の判決で、高松地裁は9日、請求通り、遺族補償と葬祭料を不支給とした江戸川労働基準監督署の処分を取り消した。

吉田肇裁判長は判決理由で「業務以外の心理的負荷は認められない」と指摘した。
判決によると、男性は徳島県北島町の食品包装機等製造会社に設計技師として勤務していたが、1999年5月に東京都江戸川区にある子会社に出向した後にうつ病を発症。自宅療養し、同年8月に徳島県の職場に復帰したが、11月に自殺した。

江戸川労基署は「判決内容を東京労働局などと協議し、今後の対応を判断したい」としている。

(共同通信)


■「不要な配転」と賠償命令/NTT西のリストラ訴訟

リストラで遠隔地に配置転換させられたのは違法として、NTT西日本の現・元社員計21人が同社に慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は15日、1審を上回る17人に計900万円を支払うよう命じた。

1審大阪地裁は、3人に計200万円を支払うよう命じていた。

判決理由で渡辺安一裁判長は、関西から名古屋への17人の配転は「創出された業務で、新幹線通勤や単身赴任させてまで実施する必要性はなかった」と判断。

長距離通勤や単身生活によるストレスを共通の損害とした上で、家族の介護など個人的事情を考慮し、慰謝料を一人40万〜120万円とした。

一方、残り4人の配転は業務上の必要性があり、避けるべき個人的事情もなかったとした。

判決によると、21人は、58〜63歳の男性。NTT西は、51歳以上の社員に賃金カットを伴う子会社での再雇用 か、全国異動がある残留かを選択させる構造改革を実施。少数派組合の21人は選択せずに残留とみなされ、2002年に中四国から大阪、大阪から名古屋など の配転を命じられた。

NTTグループのリストラをめぐる同様の訴訟では、札幌地裁が06年、配転の必要性はなかったとして賠償を命令。東京地・高裁や静岡、松山両地裁は訴えを退けた。

(共同通信)



■過労自殺で8千万賠償/JFE関連会社に命じる

千葉県の男性会社員=当時(43)=が2001年、うつ病で自殺したのは長時間労働が原因として、遺族が約1億3,000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は8日、勤務先だったシステム開発会社「JFEシステムズ」(東京)に約8,000万円の支払いを命じた。

大段亨裁判長は「男性はシステム開発の不具合発生のため、1カ月100時間を超える残業などの長時間労働や過大な精神的負担を強いられた」と認定。「会社は必要な人員配置や職務分担の見直しなど適切な措置を取る安全配慮義務を怠った」と指摘した。

男性はJFEスチール(旧川崎製鉄)から出向しており、遺族は同社にも賠償を請求したが、大段裁判長は「長時間労働の実態を認識できなかった」として退けた。

判決によると、男性は1999年ごろから自動車メーカーの試作品工場向け生産計画管理システム開発を担当したが体調を崩し、01年1月にうつ病などで一時入院した。後に職場復帰したものの、同8月、自宅で自殺した。

男性の死亡については千葉労働基準監督署で労災認定されていた。
         

■上司のパワハラと労災認定/遺族が2審で逆転勝訴


大手運送会社の子会社課長だった男性(故人)が、不整脈による脳梗塞で後遺症を負ったのは、上司の部長から長期間にわた り叱責を受けたパワーハラスメント(パワハラ)が原因として、甲府市に住む妻(60)が労災認定を求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁は12日、請求を棄却 した1審判決を取り消し、労災と認定した。

南敏文裁判長は「上司は男性を起立させたまま、執拗に2時間以上もしかるなどしており、不整脈は、頻繁に繰り返され た異常な叱責によるストレスなどから生じた」と、パワハラとの因果関係を認めた。発症前1カ月の時間外労働が77・5時間と、脳梗塞などの発症の危険性が 高まる45時間を超えていたとも指摘した。

判決によると、1994年1〜4月の間、当時47歳だった男性は計9回にわたり「質問にはすぐに答えろ」「指示された仕事はすぐにしろ」などとしかられ、同4月に脳梗塞で倒れた。

男性は、右半身まひと重度の失語症を負い、97年に退職。2006年に別の病気で死亡した。

(共同通信)


■添乗員に残業代支払いを/「みなし労働適用できず」


阪急トラベルサポートに登録する派遣添乗員の女性が、会社の指揮・監督が及ばず所定労働時間働いたとみなす「事業場外み なし労働制」を適用され、残業代を支給されなかったのは不当と申し立てた労働審判で東京地裁は、「みなし労働は適用できず、残業代を支払うべきだ」との審 判を下した。(共同通信)


■トヨタ社員の過労死を認定/新車開発担当で長時間労働

2006年1月に「虚血性心疾患」のため愛知県豊田市の自宅で亡くなったトヨタ自動車チーフエンジニアの男性=当時(45)=について、豊田労働基準監督署は8日までに、長時間の残業などが原因として男性の労災を認め、申請していた遺族に通知した。

申請した妻(46)の代理人弁護士によると、男性は「カムリ」ハイブリッド車開発プロジェクトの責任者。労基署は (1) 死亡直前の2カ月間の平均残業時間が80時間あった (2) 06年3月の生産開始が迫り、責任者として精神的な緊張を伴う業務であった―ことを理由に挙げたという。

また男性は米国への出張も多く、休日出勤もしていたといい、記者会見した妻は「2人目、3人目(の犠牲者)を出さないように会社にも学んでほしい」と話した。

労基署が労災を認定したことについて、トヨタ自動車は「決定を真摯に受けとめ、労災の防止、社員の健康管理に今後とも努めていきたい」とコメントした。

(共同通信)


■キヤノン社員自殺は労災/直前の残業月260時間

沼津労働基準監督署(静岡県)は13日までに、自宅に仕事を持ち帰り長時間残業を続けたキヤノンの男性社員=当時(37)=の自殺について、過重な業務で精神疾患を発症したのが原因として労災と認定した。自殺直前の残業は月260時間を超えていた。

労災を申請した妻の代理人川人博弁護士は「キヤノンの御手洗冨士夫会長が会長を務める日本経団連は被災者の死を真摯に受け止め、自殺予防に全力で取り組むべきだ」と話している。

川人弁護士によると、男性はキヤノンの富士裾野リサーチパーク(静岡県裾野市)に研究職として勤務していた2006年11月30日、電車に飛び込み自殺した。

職場は午後10時までしか残業できない決まりだったが、男性は帰宅後や休日も深夜 までパソコンを使って仕事をしていた。パソコンから自宅での労働時間を確認した結果、同年8月末から10月下旬まで54日間休まずに働いており、社内での 勤務時間と合わせると、自殺前1カ月の残業は263時間に上った。

また直前にあった研究成果を発表する「成果展」の準備のため長時間残業を強いられた上、当日は慣れない研究分野の発表で質問にうまく答えられず、大きな精神的ストレスを受けたという。

キヤノン広報部は「事実を厳粛に受け止め、誠意を持って対処したい」としている。

(共同通信)


■過労で倒れ、植物状態/大阪の会社に2億円賠償命令


脳出血で倒れて植物状態になったのは過労が原因だとして、大阪市の男性(33)と家族が大阪府門真市の精密機器メーカーに計約5億8,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は28日、計約1億9,000万円の支払いを命じた。


男性側の弁護士は「労災をめぐる損害賠償としては異例の高額。労働時間管理をしっかりするよう企業に厳しく警告した判決だ」としている。

判決理由で裁判長は、発症前の時間外労働が12日間で計約61時間だった点を挙げ「業務は質的にも量的にも著しく過重だった」と指摘。発症との因果関係を認めた。

発症後に先天的な脳血管の疾患があったことが判明。会社側は「予見できなかった」と主張したが、判決は「疾患の有無にかかわらず、男性の勤務状況から業務の負担を軽減すべきだった」として注意義務違反を認めた。介護費用も賠償の対象とした。(共同通信)


東芝社員自殺で労災認定、妻の日記で長時間労働立証/熊谷労働基準監督署

東芝の37歳の技術職社員が自殺したのは、長時間労働やストレスで発症したうつ病が原因として、社員の妻が出していた労災申請について、熊谷労働基準監督署(埼玉県熊谷市)は労災と認定した。(共同通信


■労基署もQC活動を残業認定/社員過労死訴訟、名古屋

自動車工場で勤務中に急死したAさん=当時(30)=の遺族らが、Aさんの死を過労死と認めた判決に基づき、遺 族補償年金などを支給するよう求めていた問題で、豊田労働基準監督署は判決通り、QC(品質管理)サークル活動なども業務と認定し、同年金などを支給する 決定をしていたことが7日、分かった。(時事通信)


■派遣先メーカーにも賠償命令/労災死亡事故訴訟、東京地裁

派遣社員だった長男が勤務先で死亡したのは会社が安全対策を怠ったためだとして、両親が人材派遣会社(神奈川県)と派遣先の容器メーカー(東京都)などを相手に計1億 9,200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が 13日、東京地裁であった。

裁判長は直接の雇用関係がない派遣先の責任も認め、2社に計約 5,100万円の支払いを命じた。

裁判長は、Aさんが勤務中に意識を失い、作業台から落ちて死亡したと認定。テクノ社について「転落防止の措置を取らなかった」と責任を認めた。

派遣先については、同社の機械・設備が設置された場所で作業が行われ、管理もしていたと指摘。「派遣社員との間には、実質的に使用者と労働者の関係が生じており、安全配慮義務を負う」と述べた。

判決によると、 2003年8月、大和製罐東京工場で缶のふたを検査していた際、高さ 90センチの作業台から転落して頭部を強打。約3カ月後に死亡した。(時事通信)

■男女別賃金は違法 東京高裁 女性4人逆転勝訴

 総合商社(東京)の社員と元社員の女性6人が、「男女別の賃金制度は不当な差別」として、同社に差額分賃金や慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。

 西田美昭裁判長は女性側の請求を退けた1審東京地裁判決を変更。男女の賃金格差が違法だったことを認め、4人に対し計約7250万円の支払いを命じた。

 主な争点は、男女の賃金を分けた制度は違法かどうかだった。総合商社(東京)は「職務内容が違うコース別賃金制度で、男女差別ではない」と主張していた。

 西田裁判長は、4人の賃金は、同じような困難度の仕事をしていた男性社員と比較して相当の差があったことを認めた。その上で、「この差に合理的な理由はなく、性の違いによって生じたと考えられる」と判断。男女の差によって賃金を差別していた兼松の違法性を認定した。

 1審判決は、平成11年に改正法が施行される前の男女雇用機会均等法下では、男女の差別的扱いをしないことは雇用者の努力義務だったと指摘。男女を分けた処遇は違法ではないとしていた。(産経新聞)


■「店長は管理職に当たらない」…残業代の支払命じる・東京地裁

日本マクドナルドが店長を管理職扱いにして残業代を認めないのは違法として、埼玉県内の直営店店長が未払いの残業代と慰謝料などを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であり、裁判官は「店長は管理職に当たらない」として計約750万円支払いを命じた。

訴状によると、1999年10月に店長に昇格。管理職に相当する「管理監督者」として扱われ、残業代などが支払われなくなった。

店長になった後も、(1)店頭で直接接客している(2)出退勤時間の自由がない(3)アルバイトの採用権限はあるが、人件費を厳しく制限されているため、自由に採用できない−などと主張。管理監督者には当たらないと訴えた。

月100時間以上の残業をした時もあったのに、残業代がないため、月給が部下を下回ることもあり、管理監督者として処遇されていないと指摘。時効にかからない約2年間の未払い分計約517万円などを求めた。 (時事通信)


■「勤務の質が過重」/看護師の過労死認定、大阪地裁

看護師の長女がくも膜下出血で死亡したのは過重な勤務が原因として、大阪府吹田市の夫婦が国を相手に、国家公務員災害補償法に基づく計約 1,260万円の遺族補償を求めた訴訟の判決が 16日、大阪地裁であった。

裁判長は「勤務と死亡の因果関係は、超過勤務時間の面からは認められないが、質的過重性を考慮すると認められる」と述べ、ほぼ全額の支払いを命じる判決を言い渡した。

判決によると、長女=当時(25)=は国立循環器病センター(吹田市)の脳神経外科病棟に勤務。2001年2月に自宅でくも膜下出血を発症し、翌月死亡した。

発症前6カ月間の時間外労働は毎月約 50時間で、裁判長は「時間的(量的)な過重性では、発症は公務に起因するとは言えない」と指摘。しかし、1カ月に5回程度勤務終了から次の勤務まで5時間程度しかない体制が組まれていたことから、「精神的、身体的負荷は非常に大きく、慢性疲労や過度のストレスが持続、蓄積していた」と認定した。

同じ看護師の母親は記者会見で、「看護の現場の労働条件は本当に厳しい。これを機に改善につなげてほしい」と話した。(時事通信)


■個人業務委託のエンジニア、労組法上の労働者と判断/INAXメンテナンス事件

会社と個人業務委託契約を締結して修理業務などに従事するCE(カスタマーエンジニア)が加入する組合からの団体交渉の 申入れに対し、INAXメンテナンス(常滑市)が「CEは個人事業主であり労組法上の労働者に当たらない」と応じなかったのは不当労働行為だとして、救済 申立てがあっ事件で、中央労働委員会は10月31日、命令書を交付した。「CEは、会社の基本的かつ具体的な指図によって仕事をし、そのために提供した役 務にき対価が支払われている」とし、CEを労組法上の労働者と判断した初審命令を維持。申し立ての全般を不当労働行為に当たるとして救済を命じた。


■住み込み管理人にも残業代/「時間外も住民対応で待機」、最高裁

夫婦でマンションの住み込み管理人をしていた女性(67)が雇用主で大林組子会社の「大林ファシリティーズ」を相手に、残業代など約 4,000万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は 19日、「所定労働時間外にも、住民らに対応できるよう待機せざるを得ない状態に置かれていた」と述べ、残業代は支払われると判断した。

その上で、通院や犬の散歩に使った時間は「管理人の業務とは関係ない私的行為」とし、実際の残業時間算定のため、審理を二審東京高裁に差し戻した。

同小法廷は、夫婦は平日午前 9時 〜 午後 6時の所定時間以外にごみ置き場の扉の開閉や、空調設備の運転切り替えなどの仕事をしていたとして、平日の労働時間を午前 7時〜午後 10時と認定。 2人分の残業代が支払われるべきだとした。

管理マニュアルで、管理人室の照明が点灯している間は時間外でも宅配便などに対応すべきだとされていたとし、「残業は会社による黙示の指示だった」とも指摘した。

判決によると、夫婦は 1997年から 2000年まで、東京都北区の 13階建てマンションを住み込みで管理していた。(時事通信)


■NTTの年金減額認めず/「経営状況悪くない」、東京地裁

退職者への企業年金減額を厚生労働省が認めなかったのを不服として、NTTグループ 67社が国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は 19日、「減額がやむを得ないほど、経営状況が悪化していたとは認められない」として、NTT側の請求を棄却した。

裁判長は「NTT東日本と西日本は、厚労省による不承認処分の前の決算で、1,000億円前後の当期利益を上げていた」と指摘。「(将来)大幅に減益となり、掛け金を拠出することが困難になると予測させる証拠もない」と述べた。

NTT側は減収減益の傾向が続いており、年金減額はやむを得ないと主張していた。

判決によると、NTTグループは 2005年 9月、企業年金を減額するため、「確定給付企業年金法」に基づき規約変更承認を厚労省に求めた。しかし、同省は昨年 2月、要件を満たしていないとして、不承認とした。(時事通信)


■パワハラ自殺、労災と認定/上司暴言でうつ病、東京地裁

製薬会社の男性社員=当時(35)=がうつ病にかかり自殺したのは上司の暴言が原因として、男性の妻が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は 15日、「上司の言動で過重な心理的負荷を受け、精神疾患を発症させた」として労災と認め、遺族補償給付を支給しなかった静岡労働基準監督署長の処分を取り消した。

原告側の弁護士によると、パワーハラスメント(職権を背景とした嫌がらせ)による自殺を労災と認めた判決は初めてという。

裁判長は「上司の言葉は男性のキャリアだけでなく、人格や存在自体を否定する内容 もあった」と指摘。上司が男性の立場などに配慮せず、大声で叱責(しっせき)したと述べ、「通常の上司とのトラブルを大きく超える心理的負荷があった」と して、暴言とうつ病発症との因果関係を認めた。

国側は上司の発言について、男性に対する指導、助言だったと反論したが、「指導的な意図があったとしても、(男性の)心理的負荷が軽減されるか、はなはだ疑問だ」と退けた。

判決によると、男性は 1997年 4月から同社静岡営業所にMR(医療情報担当者)として勤務。上司の係長は 2002年 4月に同営業所に赴任し、男性に「存在が目障りだ。消えてくれ」「給料泥棒」などと暴言を繰り返した。男性はうつ病を発症し、03年 3月に自殺した。


■入社半年で自殺、労災と認定/「過重業務で心理的負荷」、福岡地裁


長崎県内のソフトウエア開発販売会社に入社し、約半年後にうつ病などで自殺したシステムエンジニアの男性=当時( 24)=の遺族が、国を相手に労災認定を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は 27日、業務と自殺の因果関係を認め、福岡中央労働基準監督署の遺族補償一時金などの不支給処分の取り消しを命じた。

裁判長は、男性について、納期に迫られながらシステムのトラブル処理などで、「過重の心理的負荷があった」と認定。男性は半年の間に勤務時間が急増し、自殺直前の出張中は、徹夜で作業を続けていたとした。

国側はシステムのトラブル処理はさほど困難でなかったとしたが、裁判長は「初めての処理で、応用力も必要とされた」として退けた。

判決によると、男性は 2000年 4月入社し、福岡支店でシステムエンジニアとして勤務。同年 9月 26日、千葉県に出張中、遺書を残してホテルで自殺した。(時事通信)


■出版社バイト掛け持ちで自殺、26歳女性に労災認定

出版社2社で掛け持ちアルバイトをしていた東京都杉並区の女性(当時26歳)が自殺したことについて、東京労働者災害補償保険審査官が労災を認定した。

東京過労死弁護団事務局長の尾林芳匡弁護士と女性の母親(55)が16日、明らかにした。

女性は杉並区のコミック誌の出版社に社員として勤めていたが、2004年9月に新宿区の別の出版社にアルバイトとして採 用された。このため杉並区の出版社では正社員でなくなり、10月は両社をアルバイトとして掛け持ちしたが、精神疾患となり、同29日に静岡県内の実家で自 殺した。

両親は「精神疾患による自殺は業務上の災害だ」として労災保険給付を申請したが、新宿労働基準監督署は06年1月に「業務と精神疾患に因果関係はない」と判断した。しかし、東京労働者災害補償保険審査官は、両社合わせた時間外労働が月147時間に及び、自殺前日に杉並区の出版社社長から兼業を約4時間もしっ責されたことを重視し、労災認定した。 (読売新聞)


■「ばかやろう」で解雇は無効/ブラジル人通訳勝訴、名古屋地裁

仕事で上司とやりとりした際、「ばかやろう」と言ったことを理由に解雇されたのは不当として、日系ブラジル人の男性通訳(35)が、勤務先の人材派遣会社(静岡県浜松市)を相手に、地位確認などを求めた訴訟の判決が9日、名古屋地裁であった。

裁判官は「発言は 1回限りで、合理的な解雇理由とはいえない」として、昨年 7月の解雇処分は無効と指摘。会社側に解雇時から判決確定まで月当たり 35万 5,000円の給与を支払うよう命じた。

判決によると、原告は、派遣先の自動車部品会社で、通訳や一緒に派遣された日系ブラジル人らの勤務管理を担当。昨年 5月、上司と有給休暇の申請方法をめぐり、電話で口論となり「ばかやろう。おれは子どもではない」と発言したところ、翌月解雇された。 (時事通信)


■過労自殺、二審も労災認定/遺族補償不支給取り消し、福岡高裁

子会社に出向していた単身赴任の男性=当時(48)=が自殺したのは過労によるう つ病が原因として、兵庫県内に住む妻が福岡県内の労働基準監督署長を相手取り、遺族補償年金不支給処分の取り消しを求めた控訴審判決が7日、福岡高裁で あった。裁判長は「自殺は業務に起因する」として、処分を取り消した一審福岡地裁判決を支持、労基署側の控訴を棄却した。

原告側によると、高裁段階で過労自殺が労災認定されたのは、トヨタ自動車の係長だった男性=同(35)=のケースで名古屋高裁が 2003年に認めて以来 2件目。

訴訟では、労災の判断基準が争点となり、労基署側は自殺の原因は本人の「脆弱性にあった」と主張。しかし、同裁判長は平均的労働者と比べて「性格等に過剰な要因があったと認めることはできない」と指摘した。

判決によると、男性は 1999年 8月、福岡県筑後市の子会社に出向した後、精神障害を発症。同年 12月に同社倉庫内で首つり自殺した。

同労基署は 01年 9月、労災認定せず遺族補償年金などを支給しないことを決めた。(時事通信)


■過労死で賠償命令/「受動的対応では不足」


 共同通信によると、仕事中に倒れ急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した北海道旭川市の男性=当時(55)=の遺族が、月平均 180時間に及ぶ時間外労働をするなど過労が原因として、生鮮食品加工業(北海道旭川市)に約 6,660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は 23日、約 3,380万円の支払いを命じた。

裁判長は判決理由で「会社は労働時間を短縮するための措置を何ら取らなかった」と指摘。「事業主は、労働者からの長時間労働の申告を受けて対応すればいいという受動的なものではない」として、積極的に過労死対策を取る義務があるとの見解を示した。

判決によると、男性は 1998年からは管理部長として経理などを担当していたが、 04年 2月、仕事中に意識を失い、急性心筋梗塞で死亡した。死亡直前の 3カ月間の休みは 2日だけで、月平均約 180時間の時間外労働をしていた。


■外勤社員の出向認めず/「不利益変更」と東京地裁

 共同通信によると、損保最大手の東京海上日動火災保険(東京)がセールス担当の外勤社員制度を廃止した上、代理店へ出向させようとしているのは労働条件の不利益変更で無効として、外勤社員 46人が正社員としての地位確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は 26日、全員の請求を認めた。

裁判長は制度廃止や配転に経営政策上の必要性があることを認めた上で、会社側は外 勤社員を採用した際、転勤のない営業専門職として「職種限定契約」を結んだと指摘。「会社側が提示した配転の条件では大幅な減収になり、転勤がないという 保障もなく、原告は大きな不利益を受ける」と判断した。

判決によると、同社は 2004年、東京海上火災保険と日動海上保険が合併して発足。外勤社員は旧日動が採用し、歩合給制に近く顧客との関係を維持するため、転勤もなかった。

合併当時は外勤社員制度を維持することで合意していたが、05年 10月に制度を今年 7月までに廃止するとして退職を募るとともに、継続雇用希望者は代理店へ出向させる方針を提示した。出向の場合、給与水準は従来より 9〜 17%程度減額され。転勤もある。

原告側によると、会社側の提示前に約 920人いた外勤社員のうち、約 850人が退職し、現在は 68人しか残っていないという。


「社内飲み会も業務」 帰宅途中に死亡で労災 東京地裁が認定

 社内で開かれた会社の同僚との飲み会に出席して帰宅途中に地下鉄駅の階段で転落して死亡したのは労災に当たるとして、 妻が中央労働基準監督署を相手に、遺族給付など不支給処分の決定取り消しを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。裁判長は労災と認め、決定の取り 消しを命じた。

 裁判長は会合について「業務を円滑に進める目的で開かれており、業務上の成果も出ている飲酒は忌憚(きたん)のない意 見交換をするため」と認定、会合が業務だったと判断した。中央労基署は「会合は勤務時間外に開かれた慰労目的で業務でなく、労災に当たらない」と主張して いた。

 判決によると、死亡したのは東京都内の建設会社の部次長だった男性。男性は平成11年12月、勤務時間外の午後5時から社内で開かれていた会合に出席し、缶ビール3本などを飲んだ。約5時間後に帰宅する途中、地下鉄駅の階段から転落して頭を打ち死亡した。 (産経新聞)

■新入社員は過労自殺/労災不認定取り消す
 
 共同通信によると、栃木県の食品卸会社に入社し、約 8カ月後に自殺した男性=当時(23)=の両親が労災と認めなかった真岡労働基準監督署(栃木県)の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は 27日、過労による自殺と認め、処分を取り消した。

 判決によると、男性は大学卒業後の 2002年 4月に入社。同社宇都宮支社の営業担当に配属され、10月から 2社の取引先を任された。

 時間外労働は 9月まで月 50時間未満だったのに、10月からは月 150〜 112時間に急増した上、取引先とのトラブルや売り上げのノルマを達成できない悩みも重なった。 12月中旬までにうつ病を発症し、同月 24日、自殺した。

 真岡労働基準監督署は 04年 8月、自殺は業務が原因ではないとして労災と認めず、遺族補償を給付しない処分をした。

 両親が長時間労働を放置し、安全配慮を怠ったとして、同社に 1億 2,000万円の損害賠償を求めた訴訟は今年 7月、会社側が約 2,000万円を支払うことなどを条件に東京地裁で和解している。


■自動車メーカー社員の過労自殺認定/約6千万円の支払い命令

 共同通信によると、自動車メーカーの)に勤めていたAさん=当時(41)=が2002年に自殺したのは過酷な業務やス トレスが原因として、同市の両親が自動車メーカーに約9,100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁浜松支部は10月30日、過労による自殺を 認め、同社に約5,867万円の支払いを命じた。

 裁判長は「月平均で約 100時間もの時間外労働をさせ、上司がうつ病の発症をうかがわせる事実を認識しながら何ら措置を取らなかった」と指摘、安全配慮義務の違反を認めた。

 判決によると、Aさんは 1983年に入社し、座席シート部門に勤務。 02年 2月に四輪車体設計部門の責任者(通称課長)に就任後、仕事の重圧や長時間労働などからうつ病を発症し、同年 4月、会社の屋上から飛び降り自殺した。


■アクセス記録で過労証明 死亡男性の労災認定

 共同通信によると、電車内で倒れ死亡した東京都内の男性=当時(42)=について、八王子労働基準監督署がパソコンの接続記録を基に長時間労働を認め、労災認定していたことが 21日分かった。遺族の代理人の弁護士が明らかにした。

 弁護士によると、男性は大手事務機器メーカーの課長だった昨年 6月、東京都千代田区から八王子市内の事業所に向かう途中、JR中央線の電車内で倒れ、 5日後に虚血性心疾患で死亡した。

 男性の労働時間を証明する資料を会社側が示さなかったため、遺族側は東京地裁八 王子支部に労働時間についての証拠保全を申請。これが認められ、男性がパソコンで同社のコンピューターサーバーにアクセスした時間やメールの送信時間、文 書ファイルの更新時間などが判明したという。

 この結果、男性の死亡前 3カ月間の平均時間外労働が 1カ月当たり 86時間だったことが証明され、労災と認められた。


■7年後処分は権利乱用、社員2人の懲戒解雇無効/最高裁
 共同通信によると、上司への暴行などを理由に食品メーカーを懲戒解雇された2人が、社員として地位確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷は6日、告敗訴の二審東京高裁判決を破棄、解雇を無効として同社に未払い賃金の支払いを命じた。同社敗訴が確定した。


■残業1時間で死亡も労災/作業条件厳しく逆転勝訴

 共同通信によると、船舶の荷物積み降ろし作業後に心臓病で死亡した港湾労働者の男性=当時(48)=の遺族が、大阪西労働基準監督署長に遺族補償給付などの不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は 28 日、作業条件の厳しさなどから労災と認め、遺族の逆転勝訴とする判決を言い渡した。

 男性は心臓に持病があったものの、死亡前 1 週間の残業時間は 1 時間程度で、原告側弁護士は「従来の基準では認められなかったケース。労災を幅広く認めた判決だ」と評価している。

 裁判長は判決理由で、不整脈など男性の持病について「心臓病発症寸前までは悪化していなかった」とした上で、死亡までの勤務状況を検討。

 1 週間の残業時間が約 1 時間で、直前の 2 日間が休日だったため「負担が重いと断定するのはためらう」としたが、死亡時が夏で直射日光を浴びて作業していたことから「前の週に比べ厳しい業務となった」と判断。業務により心臓病が発症したと認定し、不支給処分を取り消した。

 判決によると、男性は 1995 年 7 月、大阪市住之江区で早朝から貨物船に鋼材を積み込む作業をしていたが、午後八時ごろ倒れているのが見つかり間もなく死亡した。作業現場に日よけはなく、最高気温は 30 度を超えていた。


■三重銀が8億7千万不払い/2年間の残業代を精算へ

 共同通信によると、三重銀行(三重県四日市市)は 15 日、 2004 年 2 月から 06 年 2 月までの間、行員約 1,200 人に対し、計約 8 億 7,000 万円の時間外手当の不払いがあったと発表した。近く全額を精算するとしている。

 四日市労働基準監督署は今年 2 月、三重銀に対し、行員の時間外労働の実態を調査するように勧告していた。

こ れを受けて三重銀は、 04 年 2 月から今年 2 月までに在籍した支払い対象行員約 1,450 人を対象に、パソコンの使用履歴や金庫の開閉記録などを基にした実態調査を実施。このうち約 1,200人への不払いが判明した。

 不払い金の平均は一人あたり約 70 万円。最高額は 30 代後半の総合職の男性で、約 550 万円という。三重銀は労基署の指導を受けるまで、行員の自己申告だけを基に時間外手当を支給しており「適正な申請さえあればきちんと支払っていた」と釈明している。

 現職行員に対しては今月 28 日に全額を支給、退職者についても来月以降支給する予定。

 同行の加藤幹博専務は「法令順守の観点から誠に遺憾。労働時間の厳正化を行いたい」としている。


■退職後過労自殺も労災/不認定取り消し国敗訴、「業務で発病、治らず」

 共同通信によると、過重な労働でうつ状態となり無認可保育所を退職後に自殺した保育士の父が死亡を労災と認めなかった国の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は4日、請求を認め、処分を取り消した。

難波孝一裁判長は「業務によって発病し、うつ状態が治らずに自殺したと認められる。自殺の原因が業務ではないとした労働基準監督署の処分は違法」と判断した。

 退職後の過労自殺で労災が認められたケースについて、厚生労働省労働基準局補償課は「把握している限りない」と話している。

 判決によると保育士は 1992 年9月に保母(現在は保育士)の資格を取得。翌 93 年1月から無認可保育所に勤務し、月曜から土曜まで 12 時間勤務が続いた。

 3月末には、同僚の保育士6人全員が退職し、4月から責任者として新人5人を指導することになった。3月 31 日に病院で適応障害と診断され、入院のため退職。翌日退院したが、うつ状態が続き、4月 29 日に自宅で自殺した。

父親は同 12 月、労働基準監督署に労災申請したが、同労基署は「退職、退院で障害は治っていた」として認めなかった。労働保険審査会への再審査請求も昨年3月に棄却され、同6月に提訴した。

 夫妻は保育所の経営会社に損害賠償請求訴訟も起こし、 98 年8月の大阪高裁判決は業務と自殺との因果関係を認め、経営会社に約 570 万円の支払いを命令。 2000 年に最高裁で確定している。


■「左遷でうつ病」労災認定/1人だけ窓際、給料11万減

 共同通信によると、化粧品製造会社の元社員の男性が「左遷人事が理由でうつ病になった」とした労災申請について、労働基準監督署が労災認定していたことが 30 日分かった。

 申請を支援した弁護士は「精神疾患の労災認定は過労が原因であることがほとんど。こうしたケースでの認定は非常に珍しく画期的だ」としている。

 男性は 1996 年に同社に入社し本社経理部で係長を務めていたが、2004 年7月に突然、群馬工場の総務部に転勤になった。男性側は「同僚だった社長の息子に嫌われたことによる左遷人事だろう」としている。

 職場ではほかの社員の机とは離れた場所で、窓に向かった席に着かされた。給料も月約 11 万円減った。男性は転勤の2カ月後にうつ病になり、3週間入院。退院後の同年 10 月に本社に出向くと、解雇を告げられたという。

 男性は 05 年4月に労災申請し、同年5月には解雇の無効と損害賠償の支払いを会社に求める訴訟を起こしている。

 男性は「認められてよかった。今回の認定が、同じような状況で苦しんでいる人たちの一助になれば」と話している。


■7500万円支払いで和解/生命保険会社所長の過労死訴訟

 共同通信によると、生命保険会社の営業所長=当時(32)=が死亡したのは過労が原因として、妻らが会社に損害賠償などを求めた訴訟は22日、会社が和解金など7,500万円を支払うことなどを条件に大阪地裁で和解が成立した。


■2,000万円支払い和解/月100時間残業の新人自殺

 共同通信によると、栃木県の加工食品卸会社に入社約8カ月後に自殺した男性=当時(23)=の両親が、月100時間を超える時間外労働を放置し安全配慮を怠ったとして、勤務先に1億2,000万円の損害賠償を求めた訴訟は7月31日、会社側が約2,000万円を支払うことなどを条件に東京地裁で和解が成立した。


■過労自殺、遺族と和解/コマツ、裁量労働下で初

 共同通信によると、仕事の性質上、勤務時間などが労働者に委ねられる裁量労働制の職場で働き、過労自殺したAさん=当時(34)の遺族が長時間勤務を放置したなどとして、勤務先の機械メーカー「コマツ」(東京)に計約1億8,000万円の損害賠償を求めた訴訟は7月28日までに、東京地裁で和解が成立した。


■元従業員ら勝訴確定/仙台のタクシー会社訴訟
  
 共同通信によると、労使合意に反して年末一 時金を支給しなかったのは不当として、タクシー会社の元従業員ら63人が同社に一時金の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷は18日、同社の 上告を退ける決定をした。同社に計約2,000万円の支払いを命じた二審仙台高裁判決が確定した。


■社員の過労自殺認定/納期迫り、残業159時間

 共同通信によると、2002年に男性=当時(28)=が自殺したのは、過労が原因だとして遺族が出した労災申請につい て、いったん申請を棄却した厚木労働基準監督署が、あらためて労災と認定したことが12日、分かった。監督署は当初、自殺する直前1カ月の残業時間を会社 の説明を踏まえ117時間とみなしていたが、再調査で159時間に上っていた実態が判明したことなどから認定を見直した。


■成果給与に変更合理的/減額3社員が逆転敗訴、東京高裁が初判断

 共同通信によると、給与制度が実質年功序列型から成果主義型に変更され、降格・減給した企業の社員が減給分支払いなど を求めた訴訟の控訴審判決が、東京高裁であった。裁判長は「制度変更には高度な必要性があり、内容に合理性がある」として原告勝訴の一審横浜地裁川崎支部 判決を取り消し、請求を棄却した。


均等法の相談件数、3年連続で増加/労働局雇用均等室

  厚生労働省は5月29日、2005年度の均等法施行状況をまとめた。全国の労働局雇用均等室に寄せられた均等法に関する相談は1万9,724件と3年連続で増加。セクシュアルハラスメントに関する相談が4割を占めている。


■過労による脳・心臓疾患の労災認定、330件に増加/05年度、厚労省

 厚生労働省は5月31日、2005年度に過労で脳・心臓疾患にかかった人などの労災認定状況をまとめた。請求件数は869件で前年度に比べ53件増加。

 認定件数は330件で前年度より36件(12.2%)増え、このうち過労死の労災認定は157件だった。また、働きすぎなどによる精神障害の労災申請は656件で、127件が労災の認定を受けている。


■自殺は「業務に原因」/出向の会社員めぐり判決

 共同通信によると、福岡県内の子会社に単身で出向中に自殺した兵庫県の会社員=当時(48)=について、福岡地裁は 12日、「自殺は業務が原因」と認定し、労災と認めなかった労働基準監督署の処分を取り消す判決を言い渡した。

 
裁判長は「出向や子会社での業務、残業時間などを総合すると、精神疾患を生じさせる心理的負荷になった可能性がある」と述べた。

 
判決によると、大阪市の設計会社の社員は 1999年8月、福岡県筑後市にある子会社に単身赴任。不慣れな担当業務や長時間の勤務でうつ病か適応障害になり、同年12月、会社の倉庫で首つり自殺した。

 
妻が労災申請したが、八女労基署(福岡県八女市)は2001年9月、「自殺は業務が原因ではない」として、遺族補償年金と葬祭料を支払わなかった。審査請求した福岡労働局や労働保険審査会(東京)も「死に至るほどの心理的負荷はなかった」と棄却。妻が提訴していた。


■介護で寄り道は「通勤」/休業補償の不支給取り消し

 共同通信によると、義父の介護のために寄り道した後、帰宅する途中に交通事故に遭ったのは通勤災害だとして、大阪府の男性が、休業補償を不支給とした労働基準監督署長の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は 12日、請求を認めて支給を命じた。

 
通勤経路を外れたことが日常生活上、必要な行為だったかどうかなどが争点となり、裁判長は判決理由で、介護の内容を具体的に検討。両足が不自由な義父と同居する義兄の帰宅が遅く、男性が週4日程度介護していたことなどから「必要不可欠な行為」と認め、決定を取り消した。

 
判決によると、男性は 2001年2月26日、建材店での勤務を終え、通勤経路とは異なる市内の義父宅へ向かった。夕食の準備などの介護をした後、徒歩で帰宅途中に交差点でミニ バイクと衝突、脳挫傷などのけがをした。2003年2月に休業補償の支給を労基署長に請求したが翌3月、不支給の決定を受けた。


■違法残業で送検/労基署、社員の脳梗塞で

 共同通信によると、大手機械メーカーが男性社員(39)に長時間にわたる違法な残業をさせたとして、東京労働局の上野労働基準監督署は 30 日、労働基準法(法定労働時間)違反の疑いで、法人と男性の管理監督責任者の部長(56)を東京地検に書類送検した。

 男性は昨年2月下旬、脳梗塞を発症し、療養中。過労で労災と認定された。長時間労働による過労を発端に上場企業が書類送検されるのは異例。

 調べによると、男性社員は子会社から東京本社に出向。農業施設事業部(東京都台東区)に所属し、農業用機械設置工事の現場監督をしていた。昨年2月1日から 26 日にかけ、男性に法定労働時間を超えて約 160 時間の違法な残業をさせた疑い。

 法人によると、この男性は昨年2月に 200 時間を超える残業をしていたほか、同年1月にも 100 時間を超える残業をしていた。

 法人では出向社員の労働時間を管理する仕組みがなく、男性の労働時間を把握していなかったという。同社は書類送検を受け、出向社員も含め労働時間の管理方法を改善し徹底する、としている。

■賃金格差の訴訟が和解/名古屋高裁

 共同通信によると、総合職や事務職のコース別の待遇による男女の賃金格差は不当として、鉄鋼商社の社員(57)と元社員(63)の女性二人が差額賃金など計約1億円や総合職の地位確認を求めた訴訟が 20 日、高裁で和解した。

 和解条項で、同社は二人に解決金を支払い、今年6月から女性社員を事務職から総合職に変更するなどとした。

 名古屋地裁は 2004 年 12 月の判決で、差額賃金や総合職への変更の請求は退けたが、同社が「性差別をされない人格権を侵害した」などとして、現社員の女性への慰謝料と弁護士費用計 550 万円を認めていた。


■週末帰任は「通勤」、労基署の不支給取り消す/単身赴任で高裁

 
共同通信によると、日曜日に単身赴任先へ移動中の男性=当時(41)=が事故死したのは通勤災害として、妻(46)が遺族給付などを不支給とした労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決で、高裁の青山は 、「(単身赴任者の)週末帰宅型の通勤」として、請求を認めた一審判決を支持、労基署側の控訴を棄却した。

 遺族給付を定めた労災補償保険法は4月に改正法が施行され、自宅から単身赴任先に戻る途中の事故も通勤災害と認められる。今回の判決は一審と同様、法改正を先取りした形で、妻の弁護士は「二審も同様に通勤災害を認めたのは初めて」としている。

 裁判長は判決で、通勤とは「住居と就業の場所の間を合理的な経路と方法で往復すること」などと指摘。

 男性が都合の良い列車がないため、自家用車で約3時間半かけて日曜日に移動した点を「健康と安全のためにやむを得ない」とした。

 その上で、社宅は勤務していた生命保険会社の営業所の2階にあり「就業の場所と同一視できる」と位置付け「事故は(自宅と就業場所を往復する)週末帰宅型通勤の途中に発生した」と結論付けた。

判決によると、男性は日曜日の 1999 年8月1日夕、自宅から約3時間半離れた岐阜県の赴任先に車で出発。約4カ月後、途中の同県中津川市の沢に車ごと転落、死亡しているのが見つかった。 妻は 2001 年3月、遺族給付などを求めたが、同労基署は同8月、不支給処分とした。


■「試合が原因の可能性」 職員急死で最高裁差し戻し

 共同通信によると、心臓に持病があった教育委員会の職員=当時(44)=が、教委が共催するバレーボール大会で急死したことが公務上の災害にあたるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が、最高裁第二小法廷で言い渡された。

 裁判長は「試合前まで日常生活や運動ができており、出場による負荷が持病を悪化させた可能性がある」と判断。公務と死亡が無関係とした二審福岡高裁宮崎支部判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。

 差し戻し審では死亡原因についての審理がやり直され、公務上災害を主張した遺族側が勝訴する可能性が高い。

 判決によると、 1990 年に教職員バレーボール大会で負傷した選手に代わり試合に出場、第2セット終了後に倒れ、約1時間後に急性心筋梗塞で死亡した。

 一審鹿児島地裁判決では遺族側が勝訴したが、二審判決は「持病が悪化していた自然経過の中でたまたま競技が契機となった」と判断。「公務外」とした地方公務員災害補償基金鹿児島県支部の判断を正当と認め、一審判決を取り消した。


■組合側の再審査申立てを棄却/エッソ石油(名古屋)事件で中労委

 エクソンモービルが名古屋管理事務所を閉鎖して組合員を転勤させたことなどが不当労働行為だとして救済申立てが あった事件で、中央労働委員会は3日、労組側の再審査申立てを棄却する命令書を交付した。管理事務所の閉鎖(組織変更)は経営政策上の判断であり、転勤さ せる業務上の必要性についても労組と誠実に団交を行っていたなどの判断を示した。


■勤務医の「過労死」認定/長時間労働認め公務災害

 共同通信によると、地方公務員災害補償基金北九州市支部の審査会は 13 日までに、北九州市立医療センターの内科部長が、くも膜下出血で死亡したのは長時間労働による過労死だったとする請求を認めた。死は「公務外」で過労死ではないとしていた同基金北九州市支部長の認定を取り消した。

 代理人の松丸正弁護士は「勤務医の過労死認定は全国でも数件。長時間労働を強いられている勤務医の勤務条件見直しにつながれば」と話している。

 裁決は2月9日付。それによると、審査会はこの時間外労働について、倒れる前1カ月間は週平均 25 時間、前6カ月間は同 20 時間だったと認め、仕事の肉体的、精神的負荷などから「病気は公務に起因する」と過労死を認めた。

 裁決書によると 2001 年6月、肝臓がん患者の治療直後にくも膜下出血で倒れ死亡した。同年7月に同基金北九州市支部長に公務災害認定を請求したが、支部長は 04 年 12 月に公務外と認定。これを不服として 05 年2月、北九州市支部審査会に審査請求をしていた。


■最高裁判決 勤務中にメール 「解雇は妥当」か゜確定

 職場のパソコンで出会い系サイトに登録し、勤務中に大量のメールを送受信したとして、勤務先の福岡県内の専門学 校を懲戒解雇された元教師の男性が、地位確認などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(滝井繁男裁判長)は20日、男性の上告を退ける決定を出した。解雇を 無効とした1審判決を取り消し、男性の請求を棄却した2審判決が確定する。

 2審判決によると、男性のパソコンには98年9月以降、約3000件の受送信記録があり、うち800件以上が出会い系サイトや女性が相手で、男性は03年9月に懲戒解雇された。

 1審は「授業をおろそかにしていた実態はなく、懲戒解雇は過酷」と男性の訴えを認めたが、2審は「職務専念義務に違反し、その程度も相当に重い」と判断した。(毎日新聞)


■二審も元従業員側が勝訴
 
 共同通信によると、愛知県の紡績会社が一方的に紡績事業を廃止し解雇したとして、紡績部門で勤務していた男女計百人が、従業員の地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁 17 日、元従業員側の請求を認めた一審名古屋地裁判決を支持、会社側の控訴を棄却した。

 原告側代理人によると、判決が確定すれば、支払われる賃金の総額は約8億 9,700 万円で、解雇をめぐる訴訟では戦後最大になるという。

 判決理由で「同社は従業員らに相談せず民事再生手続きを決め、労組との交渉で紡績事業を続けると明言したのに翻した」とする一審の事実認定を引用。解雇の回避努力や必要性の検討も認められず「解雇を正当化する要素は見いだせない」とした。

 判決などによると、紡績会社は 1951 年に紡績事業を始め、中部地方では大手に成長した。しかし繊維不況で 2000 年 10 月、民事再生法の適用を申請。同年 11 月に紡績事業の廃止を原告に通知し、翌 12 月から 01 年2月にかけて解雇した。

 紡績会社は「担当者が不在でコメントできない」としている。


■サービス残業で「慰労金」2億4000万円支給

 ホームセンター大手が、従業員にサービス残業をさせていた可能性があるとして、従業員の約9割の1084人に2億4390万円を支払っていたことが分かった。

 昨年9月、北九州市内の3店舗で残業代を一部支払わなかったとして北九州東労働基準監督署から労働基準法違反容疑で書 類送検された。同社は労基署の調査開始後に、全店舗(当時約150店)の従業員を対象に2002年度と03年度のサービス残業の調査を実施。その結果、約 1億5000万円の申告があった。

 同社は管理職の店長らの額も算定して加え、対象の1084人に均等に22万5000円を「勤務慰労金」として支給した。

 同社は「サービス残業が実際にあったかどうかは分からないが、勤務時間の管理が甘かったのは事実。反省の意味も込めて慰労金を支払うことにした」としている。

                                        (共同通信)

…【このような事件ばかりです。大企業であればサービス残業代を一括で支払うこともできますが、中小企業の場合は資金繰りの悪化に直結するリスクを負うことになります。もしサービス残業をさせているのであれば、業務の中身・勤務時間に無駄がないか等の労務管理の修正・見直しをすることをおすすめします。】 



■サービス残業、総額21億円支給へ


 某銀行は12日、2003年10月から05年9月の間に、派遣社員らを含むほぼすべての行員約4600人に賃金不払い残業(サービス残業)があったと発表した。

 未払いとなっている総額約21億円、1人平均約45万円を1月中に支給する。

 昨年10月、サービス残業是正などを目指し各企業を調査している労働基準監督署から指導を受け、労働債権が時効にならない過去2年間にさかのぼって、時間外労働の実態を調査。職場のパソコンを起動・終了した時間の記録などをもとに実態に近い就業時間を各行員に自己申告させたところ、1人平均月10時間程度がサービス残業になっていたことが分かった。
実際には10時間ということはあり得ないでしょう。少なくともこの4倍以上はサービス残業があると推測されます。

 同行では各職場の管理職が部下の就業時間を毎日把握し、記録する制度になっている。だが、上司に事前申告した時間より 残業が長引いても、記録の修正が漏れていたケースもあり、未払いが生じた。同行は「時間管理に甘さがあった。始業・終業時間の確認方法を徹底する」として いる。

…【現在は、タイムカードの導入を労働基準監督署から指導されるケースが多い傾向にあります。銀行がタイムカードを導入していないのは時間管理が甘すぎると言っても過言ではないでしょう。コンプライアンスとは名ばかりです。

 各労基署の指導強化もあり、サービス残業の判明件数は増加傾向にある。全国では某電力で約69億円、人材派遣会社で約54億円、某電力で約23億円などの未払いが発覚している。
                                  
(読売新聞)

■800万円支払いで和解:男女の賃金格差めぐる訴訟…H17.12

 
共同通信によると、男女間の賃金格差は違法として、女性Aさんが、会社に約 2,300 万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は、会社が解決金 800 万円を支払うことで大阪高裁(島田清次郎裁判長)で和解が成立した。

 
2001 年 の一審京都地裁判決は「女性であることを理由にした差別」とし、会社に計 670 万円の支払いを命じていた。

 原告側代理人は「実質的な勝訴。差別の是正を求めた意義のある判断だ」と話した。一審判決によると、女性Aさんは 1981 年に入社。同期の男性と初任給で約 7 万円の差があり、差額は 11 年間で約 1,400 万円に上った。

 今年 11 月の結審時、高裁が和解を勧告した。会社は「担当者がいないのでコメントできない」としている。


■契約社員の解雇無効…H17.12

 業務の外注化を理由に雇用期間終了前に解雇したのは違法として、元契約社員の5人が、会社に地位確認などを求めた訴訟は、ネスレ側が解雇を撤回し、解決金を支払うことで高裁で和解が成立した。

 
今年3月の地裁判決は、解雇を無効とし、会社側に月額約 12 万〜 17 万円の未払い賃金支払いなどを命じていた。5人は退社する。解決金の額は双方とも明らかにしていない。
 
一審判決によると、5人は支店に勤務し、1992 年以降、スーパーの店頭などで食品の販売促進業務をしていたが、2003 年に業務外注化を理由に解雇を通知された。

 
労働者側は「全面勝訴の和解内容で満足している」、会社側は「和解内容について申し上げられない」としている

 
【解雇と言えばトラブルがつきものです。一方的な力任せの解雇では労使ともに時間・労力を消費し、結果 的に会社側が負けるケースが多く見受けられます。これからの時代はますますトラブルが増えることが予想されますので、最低限会社の規程ぐらいは整備してお かなくてはなりません。


賃金不払い残業の電話相談に1,247件…H17.11.23

  厚生労働省では賃金不払い残業解消に関する全国一斉の電話相談を23日の勤労感謝の日に実施した。相談件数は 1,247件(労働者本人893件、労働者の家族288件、使用者13件)で、このうち賃金不払残業に関する相談は852件にのぼっている。371件は時 間外労働の手当が一切支払われていないというものだった。業種別では商業(287件)、製造業(244件)が多い。


■2年間で残業代など約14億円未払い…H17.10.28


 某企業は10月28日、2003年10月〜05年9月の2年間に、間接部門従事者など約1,700人に対して時間外・休日労働、深夜割増分の総額約14.2億円が未払いだった【未申告が確認された時間外および休日労働時間 約687,000時間】ことを発表した。

 調査は労働基準監督署から指導を受けたことを踏まえ実施したもの。未払い分を対象者に支払うことになった。

 
【適正な労働時間管理の徹底を含めたコンプライアンス(事業活動に伴う関係諸法令の遵守)への取り組み ができていない例で、一般企業でしたら資金繰りに行き詰ることにもなりかねません。賃金体系をチェックし、問題があるようてしたら上記のようなことが起き ないよう対策を練ることをおすすします。


■うつ病で自殺、労災と認定 会社が厳しい叱責で圧迫

 共同通信によると、大手企業の所長だった男性がうつ病で自殺したのは、過大な売り上げ目標を達成できず上司からどう喝的なしっ責を受けた心理的な圧迫が原因などとして、労働基準監督署は労災と認定した。

 
代理人の弁護士によると、男性は 2003 年4月、営業成績の著しく悪い営業所の所長になった。営業所を統括する地方支店の上司は毎日早朝に「その日の工事出来高予定」を報告させ、厳しいしっ責を続けた。

 
さらに自殺直前の会議では、支店の上司らから「能力がない」「会社を辞めろ」「会社を辞めても楽にはならないぞ」などと約2時間にわたり、ののしられた。男性は 2004 年8月にうつ病を発症。翌月、営業所敷地内で首つり自殺した。

 
男性は 2004 年8月以降、午前6時半ごろ出勤し、午後8時半ごろ退社する長時間労働が続いたが、出勤簿には午前8時出勤、午後6時退社と記載することを強制されていた。また会社と下請け業者との間で板挟みになり、業者への工事代金 150万円の支払いを個人の預金から立て替え払いしていた。




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